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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

Roald Hoffmann教授の講演(2/2)

第一弾に続いてHoffmann教授の二つ目の講演を聞いてきました。化学科で最も大きい会場は超満員。PhDやポスドクは勿論のこと学部生、会社員まで押しかけました。

一回目の講演では芸術と化学の相違点に関してじっくり話していただきました。

二日目はがっつりSCIENCEの話。題名は「All the ways to have a bond」

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ポップなフォントがなんともかわいらしい。

量子化学的な観点から様々な結合の捉え方や軌道の世界に浸らせてもらいました。

簡単にどんな話だったか以下に書いていきます。

 

有機化学が発展し始めた1800年代は構造の表し方は研究者によりバラバラで構造式を用いての会話ができませんでした。各々がそれぞれのcriteriaを用いていたためです。式を用いた表し方や大きな丸をたくさん書く表し方など。電子や陽子、原子の定義すら曖昧でった時代に化合物を表すのは至難の業。

中でも面白かったのはケクレが提唱したソーセージ構造

ケクレのソーセージ構造

現代有機化学の記述法に慣れているため違和感はありますが、視覚的に構造を理解できる点では画期的な表し方です。現にこの表記方法が現代の表記法作成時に参考にされています

また、化合物を見るためにX線構造解析が約110年前に開発され、それから化合物のデータベースが作成され続けていて、The cambridge structual database には現在100万以上の化合物が登録されています(もちろん僕の作った化合物も登録されてます。)

発起人が有機化学者であったためヨウ素は登録されたいないのだとか。しかし、トリアイオディンは登録されている。何故でしょう?カウンターカチオンが有機物である可能性があるからだそうです。思わず笑ってしまいました。

後はスイスのIBMolympiceneの可視化に用いたeletrostatic force microscopeにも言及し、もっと利用されるべきだと話していました。

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2時間越えの盛りだくさんの講義でした。理論分野は得意な方ではないので理解するのに手一杯でしたが、新たな疑問点やインスピレーションがあったので実りある時間でした。

 

進路が決定!

やっと進路が決まりました。

と言っても約2か月しか活動してませんが。

留学した理由が留学後に日本の技術力向上に少しでも貢献することだったのでその役割が果たせる所に就職が内定しました。

ポスドクという選択肢もないわけではないですが、今自分が興味のあることをやっているラボはないのでポスドクをする必要はないという判断をしました。

ワクワクしてます。

やっと科学を通じてやりたいことが具体的に見つかり、自分の哲学をまさに体現しているような企業に内定もいただく。

幸せなことだと思います。

コロナ規制のおかげで最終面接までオンラインだったのでその点もラッキーでした。

アルバイトでの面接経験はありますが、就活の面接は初めてなので妻に練習相手になってもらい、ビシバシ鍛え上げてもらったのが効いたかな(笑)

まとめると、来年の春から日本で働きます。という報告でした!

 

原著論文がSynfactsにハイライト!そしてジャーナルのHot paperにも選出!

 

Synfactsってご存じですか?学会誌の名前なのですが化学系でないと読む機会は少ないと思います。

Synfactsは世界的に著名な有機合成化学に関する専門学術誌で、天然物化学、複素環化学、材料化学、金属触媒反応、有機金属合成、有機触媒反応、個体担持触媒合成の7分野で優れた論文が選定されます。

synfact

そのSynfactsに自分の論文がハイライトされました。

ハイライトされたのは一番最近の論文でパラジウムを用いた分子変換反応の開発についてです。

別にハイライトを狙って書いているわけではないので、今回はラボメイトからの「congratulation!」で知りました。

実は修士の時の研究がOrganic chemistry portalにハイライトされたことがありますが、Synfactsはきちんとした専門学術誌なのでより嬉しいですね。

 

更に、後日ジャーナルのHot paperとして選んでいただきました!

ありがとうございます♪

 

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Chemistry Travel Award 2022のWinnerに選出!応募資格や必要書類は?

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博士課程も最終学年に入り、子育てと両立しながらアクセル全開で手を動かしまくっているこの頃。

少しburnoutしそうな気配もありながらギリギリを攻めている。今夏に同じ欧州で開かれる大きめの学会にポスター発表しに行く予定もある。そのタイミングに合わせてchemistry travel award 2022に応募してみた。winnerはスイス国外の学会で発表するorスイス国外のラボでショート研究生活をする為に1000CHFが授与される。今回は前者に該当するためそちらで応募。募集要項には以下を満たすこととあった。

 

1 ケミストリーに関するoralかposter発表

2 スイス国外で出席

3 少なくとも3日間以上の開催

 

後はアブストラクト、CV、推薦書も締切までに提出。

最近publishしたpaperのアブストを作成し、CVはコチラの大学院に応募した時の物を編集して提出。推薦書はボスに書いてもらった。

昨日の実験中に【なんだか見知らぬアドレスからのメールだなぁ】と思って開くとwe are happy to inform you that ‥と見えて、congratulations とあった。

スパムかと思ったがもう一回1番上からしっかり読んでみるとchemistry travel award 2022のwinnerに選ばれたと。

今回は通常より応募者が多く、outstandingなものが多かったので選考に時間がかかりましたが、あなたはwinnerですと書いてある。

 

あれ?貰った。

取り敢えず有り難く頂戴しよう。

 

CVなんてただのワードに黒字でやった事つらつら書いただけで、顔写真も貼ってなければ、リファレンスも1人もつけてない。本当に選考したのか?笑(この応募後、流石にこのCVはまずいと思い、カッコいいの作った。)

それかボスが大変素晴らしい推薦書を書いてくれたか‥

 

家族も連れて行こうかな。

 

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Roald Hoffmann 教授の講演(1/2)

Camille & Hentry Dreyfus Lectureshipの受賞講演でHoffmann教授の講演を聞いてきました。元々2020年に講演される予定だったのがコロナにより延期され年越しの招待講演となりました。Camille & Hentry Dreyfus はスイス生まれの科学者兄弟で、バーゼル大で学びました。その後、一昔前まで着衣は全てナチュラルな材料を使用していたのをラボでも化学合成で作れるように適切な材料の発見、構造の決定を行った二人です。その功績からCamille & Hentry Dreyfus Lectureshipができ、Camille & Hentry Dreyfus faundationは世界中の研究者の支援をしています。

Camille & Henry Dreyfus Lectureship

これまで以下のような著名な研究者たちに贈られてきました。

List of Recipients

2019    Prof. Dr. Emily A. Carter (University of California, Los Angeles and Princeton University)
2018    Prof. Dr. David MacMillan (Princeton University)
2017    Prof. Dr. David Weitz (Harvard University)
2016    Prof. Dr. John Hartwig (University of California, Berkeley)
2015    Prof. Dr. Chad A. Mirkin (Northwestern University)
2014    Prof. Dr. Marye Anne Fox (University of California, San Diego)
2013    Prof. Dr. George M. Whitesides (Harvard University)

2020年の受賞者はRoald Hoffmann教授(Cornnel uni)でした。Hoffmann教授といえば、学部の教科書に出て来るHoffmann脱離を始め、大学院講義で学ぶWoodward&Hoffmann則(ペリ環状反応の立体選択性の規則)を確立し、ノーベル賞福井謙一とともに受賞した方。(1981年)

ロアルド・ホフマン

バーゼル大学に約1週間滞在し、学部生と議論したり、PhDとの食事、PhDの研究内容プレゼン、講義など盛り沢山の予定をこなします。

PhDの研究内容プレゼンでは化学科から20名の志願者が各々1つのスライドで1分間のプレゼンをするというもの。私は志願しませんでしたが、うちのグループからも一人志願したようです。

また、Hoffmann教授は音楽にも精通しており、滞在中に楽団の指揮も務めるとのこと。多才ですね。一昔前の科学者は1つの分野に固執することなく、多様な学問を極めていました。ダビンチ、ユング、シュレイディンガー、シュタイナーなどもそうですね。アルドール反応を発見したのはロシア人の科学者であり、『韃靼人の踊り』で有名な歌劇『イーゴリ公』を作曲したアレクサンドル・ボロディンです。

アレクサンドル・ボロディン

アルドール反応(Wikipedia)

今回のレクチャーではChemistry in Art, Art in Chemistry, and the spiritual ground they shareというタイトルの講演で芸術を化学に見出しているのが伝わりました。ペルシアンブルーなどの古代から使われている色素、写真を暗室で現像する仕事は芸術そのものだったと。今は液晶やOLEDSに置き換わって若い人は知らない事が残念そうでした。

「もし宇宙人が来たら、我々の科学には興味がないだろう。彼らにとってあまりにも未熟だからだ。でも彼らが興味を持つとしたらその科学や知見を利用して作り上げたこの文明だ。これが私たちの遺産で、それを見るためなら少しの間なら滞在してくれるだろう」と話されていました。

82歳とは思えないほどイキイキと話されていたのが印象的でした。来週月曜日にはサイエンスの講義をしてくれるので楽しみにしています。

2報目と3報目がやっと出た

博士最終年のスタートラインに相応しく、研究論文が2つアクセプトされました。

思えばこちらに来て最初に出したのは、ロックダウン中に出したキラルリガンドに関する総説でした。

ノートパソコンとタブレットの小さい画面二つを使って、途中ケムドロのデータがふっ飛んだりしましたが何とか書き上げたもの

実はその時、既にネタになりそうなものはあったのですが、パッパッと行かないのが実験化学ですね。

他のプロジェクトとも並行しながら更に一年掛かりましたが、今月アクセプトされました。

とりあえずほっとしています。

 

実は年明け早々に、イタリアの大学と行っていた共同研究も形になってアクセプトされてました。共著という形ですが、NMRを使った活性種の同定という扱ったことのないテーマだったので勉強になることも多かったですね。

 

今月アクセプトされたのはセレンディピティから派生したプロジェクトで、こんな形になると思ってませんでしたがアンゲヴァンテへ何とか滑り込ませることができました。

2021年の11月末にサブミットしてクリスマス休暇を挟んで一月の最終週まで音沙汰なしだったので次はどこにしようか考えていたところでしたが良かったです。

かといって別に休暇を取るとかはないのですが。。。

 

現在は今回の論文から着想を得た新たな合成法を開発中です。

あと、入学時からのテーマである全合成も虎視眈々とパブリッシュを狙っています。

 

もう少ししたら就活をしないとですが、時間を見つけながら最後まで楽しく働こうと思い直せる区切りを迎えられてよかったです。

 

有り難うございました。

 

 

 

今年もシークレットサンタやりました

もう年末ですね

2022年も何かと変化が目まぐるしい年になりそうです。

 

クリスマスディナーはCOVIDのおかげで今年も流れました。

が、シークレットサンタは今年も行いました。

下に去年の記事を張っておきますね。

 

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余談ですがクリスマスって何か知っていますか?

キリストの誕生日ではないです

Christ(キリスト) mas(礼拝) つまりキリストを礼拝するための日なのです。

現在は形骸して商業化されてますが。

 

古神道八百万の神々を敬い、お天道様にあたるのが天照大御神ですね

古代ローマ人ゲルマン人ケルト人は実は太陽神を崇拝していたのです

キリストも太陽神も「大いなる一、創造主」のシンボルの一つと言えるかもしれません

 

そのお天道様がお隠れになる時間が最も長い日、冬至を過ぎ、日が長くなったと実感できる12/25をクリスマスと定めました

つまり太陽神に感謝しお祝いする日、人々の潜在意識に光が強くなりはじめる日

 

敬虔なキリスト教徒はこの日にお祈りを捧げます

なぜならホリデイ(Holy day-神聖な日 )は神と共にすごす時間だからです

その日は瞑想や祈りで、大いなる一、つまり真我の深い部分とつながるのがいいのではないでしょうか。

興味のある方はこちらをごらんください

統合医療の第一人者森井啓二先生のブログです

shindenforest.blog.jp

 

話を戻しまして、

去年はノートペンを差し上げたのですがお気に召していないのがひしひしと伝わってきました。

他は光るエッフェル塔やらパズルやら僕からしたらいらんもんばっか。

でも大きければ喜ぶという単純さがわかったので今回はシンプルに大きさで勝負しました。

 

できたプレゼントがこちら!!

アジア系インスタント食品のアソートメントです。

スーパーのアジア食料品の品物を片っ端から買い込んで詰め込みました。

予算は25CHFですが一つ一つが安いので余裕あり。

えー 実を言うとコレは妻のアイディア💡 

わたくしはナーンにも思い浮かびませんでした

 

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ラッピングして当日持っていったら一番でかい、ダントツで。

他はノートやペン。。。

昨年の逆パターン

スイスは物価が高いのでノート一つで25CHFとか普通にします。

 

でもいいのです!

めちゃくちゃ喜んでくれました!!!

周りもテンションあがってました。

 

来年もこの作戦で行こうと思いました。

 

本日も有り難うございました。

 

 

健康保険料控除してないの?しなきゃ損!スイスの健康保険料控除更新申請

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本記事は以下の方々に向けて書いています。

  • スイスで健康保険料を控除なしで支払っている方
  • 家族と一緒にスイスで暮らしている方
  • 保険料控除申請の仕方を知りたい方

 

スイスの健康保険料はバカになりません。

最低でも大人一人月3〜4万円かかります。

保険に入らなければいいじゃないかという選択肢はなく、強制です。

我が家は自分と妻の分を支払っています。

僕の場合はスイス政府奨学金が全てカバーしてくれているので無料です。

 

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妻は奨学生でないので通常通り支払っています。

保険会社との契約上、妻の月の保険料は415CHF、日本円で51000円ほど。

高すぎる。。。

しかし、その保険料を半額以下にする方法があります。

控除申請です。

 

面白いことに控除に関する情報は自分からアプローチしない限り知ることはありません。

別にケチっているわけではないでしょうがイミグレーションで勧めてくれてもいいと思います。

 

僕の場合は妻の友人から控除の存在を知ることが出来たのでラッキーでした。

現在保険料は月129CHF(16000円)しかかかっていません。

これは本当に大きいです。

控除申請の方法は以下の記事をご覧ください。

 

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さて、僕が控除申請をしたのは2019年の12月でした。

2年後の現在更新手続きを求める書類が送られてきました。

2021年12月29日までに以下の書類のコピーを、同封された封筒に入れて郵送するように書いてありました。

 

  1. 雇用契約
  2. 3ヶ月分の給与明細書
  3. 健康保険の契約書
  4. 年収証明書
  5. 1ヶ月の銀行明細書

 

これだけです。

雇用契約、3ヶ月の給与明細書、年収証明書は大学の人事課からオンラインでダウンロードできました。

僕の場合は給与の半分をスイス政府から、もう半分をボスからいただいているためスイス政府奨学金採択書も同封しました。

行明細書は1ヶ月のお金の流れを見るために必要なのでオンライン銀行口座から書面をダウンロードしました。

健康保険の契約書は毎年12月に翌年分が郵送されてくるためそれのコピーを同封しました。

妻の分は送られてきたのですが僕の分はまだ送られてきていないのでそれが揃ったら郵送したいと考えています。

 

なぜ、まだ送られてきていないのか。

スイス政府奨学金が奨学生に対して保険を提供するよう委託していた会社を来年から変更することにしたためです。理由はわかりません。

2021年11月中旬に保険解約書類を元の保険会社に送り、それと同時に新しい保険会社に申請書を書いて送りました。

2021年12月の締め切りに新しい契約書が間に合えばいいのですが、スイスはのんびりしているのでどうなることやら。

理由を話せば締め切りも延長してくれると思うのでなんとかなると思います。

参考になれば幸いです。

 

読んで頂きありがとうございました。

 

 

スイス政府奨学金は3年間有効 でも4年目も手厚い補償で感激

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本記事は以下の方に向けて書いています

  • スイス政府奨学生を目指している方
  • 所属課程修了に3年間以上必要で、4年目の奨学金を探している方

 

2019年からスイス政府奨学生なのですが、先日、本部からメールが届きました。

 

「あなたの奨学金は2022年8月をもって終了します。もしその時点でPhDが取れておらず、生活資金が確保されているのであれば以下の3点は確約します。

1:スイス政府奨学生としてのステータスは維持されます。

2:最長2023年の8月まで保険料はこちらで支払います

3:PhD終了予定日からの半年後までに本国に帰るならば、帰りの航空券代は払います。

希望の場合は資金証明書を添付しメールで送ってください。」

 

勿論初めからスイス政府奨学金が3年分しかないこと、スイスのPhDは4年間であることはボスも私も知っていてのことで、最終年はボスが支払う事になっていたので全く心配はしておりませんでしたが、まさか事実上の延長ができるなんて!

 

すぐにボスに書類を作ってもらい返信しました!

 

第一に奨学金は雇用主に優しいのです。今まではPhDのお給料を半分がスイスから半分をボスからもらっていました。これがメインの理由で応募し採択されたわけですが、その特典として保険料を全額カバー、公共交通機関の半額券を一年分プレゼント、帰りの航空券代の支払いなどもあったわけです。

 

スイス政府奨学金の詳細を調べた際に3年間でPhDを取れなかった場合は本国に帰らなければいけない旨があったので問い合わせしましたが、お茶を濁されて終わっていました。

 

なんとかなるでしょと軽い気持ちでボスも私もいたわけですから、このメールをもらった際は「スイス、めちゃくちゃ太っ腹じゃん!」と感激したわけです。

 

帰りの航空券代をカバーしてくれるのは勿論嬉しいですが、もっとも歓喜したのは保険料のカバーです。

1月5万円を支払う事になるのかーと思っていましたが、それがPhD最期までカバーされるとなるともはや私には奨学金延長にしか聞こえませんでした。

 

素晴らしすぎます。

このような情報は他では見つけることができなかったので日本からアプライの方に書き留めておきます。

 

読んで頂きありがとうございました。

 

 

スイス政府奨学金の関連記事はこちら🔽

 

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TA最終日に学生からサプライズ

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先日、PhD在籍中に行う義務があるTAの業務が全て終了しました。

4年間で500時間以上TAをする雇用契約を結んでいる為それは必須です。

といっても4年生時は就活したり、引き継ぎしたり、博士論文書いたりと他にやることがあるので大体の学生は3年生のうちに500時間を終らせます。

1、2年生の時も行い、3年生の今回が最後でした。

幸いにも毎年同じ講座のTAだったので知識や経験が年を追うごとに役立ってきました。

 

今回のTAが始まる前は500時間に届かなくてもそれに近い数字ならいいというボスとの合意が有りましたが、年始の会議で500時間以上でないといけない決まりになりました。

 

近似で500時間なら半分だけやれば490時間だったので良かったのですが、なんと再度フルタイムで行うことになったのです。

10月上旬から11月中旬間、毎週水曜日から金曜日までの10時から18時まで一人のTAで6−8人の学部生の実験指導を行います。

 

レポートの直しもやりながらの実験指導なので結構タイトな1ヶ月半です。

まぁ3回目なのでなかなか慣れましたが。

 

前述したようにその業務が今週金曜日に終わりました。

すると実習後、学生たちから最上階のランチスペースに誘われ、なんとビールを持ってきてくれて、一緒に飲みました。

 

「appreciate you hepling us after 6 pm」

「That was great time spent with you」

「Deffinitely everyone miss you」

「Good luck to your rest of PhD study」...

 

など多くの嬉しい言葉を受けました。

 

今までもTAの最後にほとんどの学生がお礼を述べてラボを後にしてくれましたが、今回はラボの皆で用意してくれたみたいでなんだか胸が熱くなりました。

 

また、講座が終わった後でもたまたま会うと覚えてくれているのでその時は感激します。

 

皆初めの頃とは桁違いに実験スキルが向上しましたし、真剣に一生懸命やって良かったなぁと

思っているうちに家に着きましたとさ。

 

本日も読んで頂きありがとうございました

 

 

過去のTA記事はこちら🔽

 

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オンライン学会で講演した件

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こんにちは。

だんだん寒くなって来ましたね。

こちらは朝が一桁台でとても寒いです。

先ほど買い物に行って来ましたが今日からマフラーデビューしました。

さて、先月の事ですがオンラインで日本の学会に参加させていただきました。

 

九月上旬にメールを頂き、海外で研究している学生に講演をお願いしたいという内容でした。

オンラインであるからこそ参加できる機会だと思い、快諾させて頂きました。

 

講演時間は30分で、現地での生活や研究概要を発表することにしました。

一応スライド(日本語)を作ってボスに見せてOKを貰い、約1週間前から練習を始めたのですがそこでちょっとした問題発生。

 

日本語忘れてる!

 

それもそのはず。

日本語で発表するのは3年ぶり、更に博士から分野を少し変えたので英語での説明の仕方は分かっているが対応する日本語がすっかり出てこない(^_^;)

 

という事で講演は半ばルー大柴のような感じになっていたかと。

別にかぶれているわけでなく、ただ単に日本語が出てこないだけです。

因みにスイスでは朝の6時からの発表でかなりぼんやりしていました。

 

沢山の質問が来るかなぁと期待していましたが、学生からはなんとゼロ。

そこで座長が気を回して質問してくれたので海外に来た理由や現地での生活の詳細を話しました。

概ね大成功だったのではないでしょうか。

オンラインが通常になった今だからこそできる良い経験でした。

 

読んで頂き有難うございました。

では。

 

 

 

 

 

 

コロナ禍でTAをした学生に大学から感謝の品

先日ラボで実験していたら一つ上の階にいるいつもは会わない秘書さんが来たのでなにかなーと思っていたらこれをもらいました。

 

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学生の管理や実験の進歩状況の調整などコロナが始まる前までは気にかけなくてもよかったことに多大なるサポートをしてくれた学生TAに大学からのお礼として配ってくれたそうです。

 

中身はというと・・

 

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学科のトップ(うちとボス)からのハート形のチョコレート二つと手紙

 

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さらに50CHF分のバウチャーが入っていました。

このバウチャーはバーゼル内のほぼすべての店舗で使える優れもの。

 

チョコレートは秒で口の中に、バウチャーは未だ机の中に入っていますが何に使ったらいいやら。

 

そんなに苦労した思い出はありませんが有り難く頂戴しました。

 

 

 

 

2回目のAnnual meeting (年一の主査、副査、自分での研究発表)が終了

先週2回目のannual meetingが終わりました。

 

この1か月、勉強会の問題作成、雑誌会、annual meeting と怒涛の3連チャンがありましたが何とか乗り切りました。

 

annual meeting は自分のボスと自分、そして同化学科内のセカンドスーパーバイザーと行う年一回の研究報告です。

 

昨年に引き続き今年もZOOMでの会議でした。

14時ぴったしに開始して、約50分しゃべり倒しました(笑)

その後、質疑応答、サジェスチョンをもらいます。

 

それが約20分ほどでしょうか。

やはり同じ分野の教授とは話がしやすいですね。

 

その後、自分のボスが席を外し、セコンドスーパーバイザーと自分二人きりの時間を設けます。

 

そこではボスからの評価とボスとの間で問題の有無、ボスに言えない悩みはないかなどカウンセリング的なことをします。

 

別に大した問題もないので僕の場合は3分ほどで終わります。

 

ボスからも「2年間で素晴らしく多くの成果だ」と評価ももらえたのであと2年間駆け抜けたいと思います。

 

 

第1回annual meeting の記事はこちら↓ 

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2つ目のオートカラム導入で超絶効率化

こんにちは。

 

先日グループで2代目となるオートカラムが導入されました。

 

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biotage HP

 

オートカラムとはUV検出により化合物の有無と種類を観測し、自動的に化合物を分けてくれるカラムクロマトグラフィーのことです。

 

クラシカルなシリカカラムだとカラム管というガラス状のものを使うのが有機合成化学では一般的だと思われます。

 

一番のメリットは早いことです。超絶早いです。

 

しかも起動中はカラムの前にいる必要もありません。

 

NMRをチェックしたり、分液したりとほかのことができます。

 

僕はシリカカラム一本やるのにRf値が離れている場合なら約30分。

 

団子状だとゆっくりグラジエントをかけるので約一時間ほど掛けます。

 

オートカラムは大体一本10分あれば終わります。

 

 

以前より一番奥のラボに一代在って個人的に使っていた時もあるのですが、試験管用ラックが十分にないのと一番奥まで行くのが面倒なので(それくらい行きなさい)限られた人しか使っていませんでした。

 

駄菓子菓子!!、今週2代目をちょうどフロアの真ん中(僕のラボは一番手前なので前より近い!!)にあるラボに導入しました。

 

 

因みにどちらもbiotageのやつです。

 

そして二代目が入ったことによりシリカカラムをもうほとんどやらなくなりました。

 

企業ではもうメジャーらしいですね。効率重視です。

 

今までオートカラムを使っていた人たち以外の人が新しいほうを使い始めたり、空いているほうに行ったりとしていますが、渋滞になったことはまだありません。

 

ラック数も十分にあるのでストレスはありませんね。

 

最近ハマっているのはクルード量とTLCのRfを打ち込んで溶媒量とグラジエントをきめてもらう機能です。

 

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biotage HP

 

あとはドライロードのほうが分けやすいみたいでセライトでやってます。

 

五グラム以上の場合も約10分ほどで終わるので自分でやるよりずっと早いですね。

 

1人1アカウントあってメルアドを登録しているのでカラムが終わるとPDFファイルが送られてきます。

 

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UV検出ピークとどの試験管にどう分けたのかまで色で分かるので便利です。

 

ただ勿論デメリットというかもあります。

 

それは収率が下がります。感覚的には手より約10%くらいですかね。

 

ドライロードのあと溶媒でなすフラを洗って残存していた化合物も残らずアプライしますがオートカラムのチャージ過程ではそれができません。

 

なので一生懸命フラスコをスパチュラで引っ掻くわけですがそれでも取り切れないものはありますから。

 

僕たちの研究内容上0.2mmolで反応を仕掛けるのが一般的で、少ないと失った時の収量に影響する値が大きいのでそこはネックです。

 

僕的には原料合成のような沢山化合物がある場合はオートカラムでジャンジャンやりますが、1mmol以下なら手でやるのが結果的にいいかなと思います。

 

 

{追記}

 

後日Twitterでバイオタージ様から連絡があり、様々なロード方法があることを教えていただきました。有り難うございます。

 

直接インジェクションする方法とドライロードだけしか知りませんでしたが下の図のように化合物によって使い分けるのがよさそうですね。

 

ますますオートカラムは強い味方になりました。

 

 

Image

 

https://bit.ly/3u3ukw5

こちらも英語版ですがご覧ください。

 

 

予算があるなら研究室にあってくれると強い味方ですね。

 

この導入によっておそらく「サラリー以上の働きができている」とラボメンは言っていますが、、どうでしょう。(笑)

 

精製時間を考えずにバンバン反応を仕込めるのは非常にうれしい限りです。

 

今回はこの辺で。

 

では。

 

 

 

 

 


 

 

 

実は一年間スイス化学会誌に毎月掲載されていた件

 

こんにちは。

 

ようやくあったかくなってきましたね。

 

先週末、いい天気だったのでバーゼル郊外にあるヴァルテンベルグ廃城に行ってきました。 

 

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細川卓哉さんのひかりの写真風な一枚 

 

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第二次世界大戦で破壊されたのち修復され、今はハイキングスポットとなっています。

 

バーゼルには二年間住んでいますが、こんなところがあるとは知りませんでした。

 

結構いい感じのハイキングができてとても満足でした。

 

     

 

動画もどうぞ!

    


【スイス】ヴァルテンベルグ城/バーゼル郊外/Wartenberg/Basel

 

 

 

 

 

 

 

さて、皆さんは学会誌なるものをご存じでしょうか。

 

様々な学会がありますが、各々の学会が月に一回いろんなテーマで特集を組んで、日進月歩で進む研究の最先端を紹介する雑誌です。

 

日本で知っている奴だと日本化学会誌や有機合成化学協会誌、農芸化学会誌とかですかね。

 

勿論スイスにもあります。

 

その名もスイス化学会誌。

 

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そのまんま。

 

こちらの大学に入るとスイス化学会にはなかば強制的に入らされます。

 

でも、会費はボス持ちなのでそりゃ入りますよね。

 

因みに学生は年間約50CHF、非学生は150CHFです。

 

余談ですがスイス化学会は何年か前までインパクトファクター(どれだけ引用されているのかの指標、高いほど価値がたかいと言われる)は1未満でした。

 

しかし、論文をそこから投稿し、優秀なものとして選ばれると賞を与えたりして投稿数を上げる努力をしてきました。

 

その結果今現在は2.309まで上がりました。

 

これって結構すごいことですよね。

 

今では卒業するまでに出す数報の論文のうち一つはスイス化学会に出すラボも増えてきています。

 

見習いたいところです。

 

日本でも日本の化学会に日本語ですんごい内容の論文を投稿してみんなで価値の高い雑誌に育て上げようという動きがあればいいのですが、業績目当てにアメリカ産の高インパクトファクターの雑誌に出してしまうのが現状ですかね。

 

話がそれました。

 

でですね。

 

そのスイス化学会誌には見開き2ページで四つの論文を約120文字で簡潔に説明したページがあります。

 

選ばれている論文はすべてスイスの研究室から最近発表されたもので、その論文の選定と学会誌中のアブストラクトはすべて学生がやっているのです。

 

実はわたくし一年間、約12回、その担当やり切りました👏👏

 

 

うちの研究室は’2019年から担当していたのですが、2020年も担当することになり2020年担当の学生4人のうちの一人として果敢に挑戦いたしました。

 

実際の仕事内容はというと、まず、月の末日までに、割り当てられたジャーナルの中からスイス発で、しかも六か月以内にハイライトしていない研究室発の論文を見つけます。

 

この時自分のやっていることとあまりにかけ離れていることだと読んでも全く理解できないか、理解するのにかなりの時間がかかるので注意でした。

 

そして2,3個絞ってボスに相談。

 

その後一つに絞り、論文の内容を約120字にまとめます。

 

簡潔に、でも具体的に、読みやすく。

 

大概の論文はアブストラクトがすでについていますが、それのコピペはもちろんNGでした。

 

たまーに何言ってるのかわからないやつもありますからね。

 

書き上げたアブストラクトをボスに見せて手直しいて、それを引用した教授に送って問題がないか確認してアブストラクトと一緒に載せたいちょっとしたコメントを頂戴して最後に体裁を整えて終わりです。

 

やってみると結構たいへんでした。

 

ボスが添削した文章を見ると「この人、まとめるのうまいなぁ」(かなりの上から目線(笑))と毎回関心しておりました。

 

また、分野が遠いものしか選択肢に上がらないときとかだと論文を理解するのが一苦労でした。

 

これをほぼ毎月、2020年の1月から2021年の1月まで一年間やり切りました。

 

今すぐに何か身についたかどうかはわかりませんが、堪える仕事だったので

何かにはなっていると思います。乞うご期待!!

 

二年間やったボスはもうやりたくないとベルン大学の教授にバトンタッチしました。

 

僕的には一年間、スイス(国が単位)の化学雑誌にのせるページを作成したのだから単位くらいくれてもいいともいますが、いまのところ何もないらしい。

 

一年間そのページを作成したのはうちのラボの5人ですよ!

 

まぁいいでしょう~。

 

いい経験でした。

 

 

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僕の名前で検索かけるすると約12個、アブスト出てくると思います(笑)

 

貴重な体験をさせていただきましたね。

 

有難うございます。

 

 

今日はこんなところで。

 

最後まで読んでいただき有り難うございました。