DaringAdv‘s diary

生き様を徒然なるままに綴っています。

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Roald Hoffmann 教授の講演(1/2)

Camille & Hentry Dreyfus Lectureshipの受賞講演でHoffmann教授の講演を聞いてきました。元々2020年に講演される予定だったのがコロナにより延期され年越しの招待講演となりました。Camille & Hentry Dreyfus はスイス生まれの科学者兄弟で、バーゼル大で学びました。その後、一昔前まで着衣は全てナチュラルな材料を使用していたのをラボでも化学合成で作れるように適切な材料の発見、構造の決定を行った二人です。その功績からCamille & Hentry Dreyfus Lectureshipができ、Camille & Hentry Dreyfus faundationは世界中の研究者の支援をしています。

Camille & Henry Dreyfus Lectureship

これまで以下のような著名な研究者たちに贈られてきました。

List of Recipients

2019    Prof. Dr. Emily A. Carter (University of California, Los Angeles and Princeton University)
2018    Prof. Dr. David MacMillan (Princeton University)
2017    Prof. Dr. David Weitz (Harvard University)
2016    Prof. Dr. John Hartwig (University of California, Berkeley)
2015    Prof. Dr. Chad A. Mirkin (Northwestern University)
2014    Prof. Dr. Marye Anne Fox (University of California, San Diego)
2013    Prof. Dr. George M. Whitesides (Harvard University)

2020年の受賞者はRoald Hoffmann教授(Cornnel uni)でした。Hoffmann教授といえば、学部の教科書に出て来るHoffmann脱離を始め、大学院講義で学ぶWoodward&Hoffmann則(ペリ環状反応の立体選択性の規則)を確立し、ノーベル賞福井謙一とともに受賞した方。(1981年)

ロアルド・ホフマン

バーゼル大学に約1週間滞在し、学部生と議論したり、PhDとの食事、PhDの研究内容プレゼン、講義など盛り沢山の予定をこなします。

PhDの研究内容プレゼンでは化学科から20名の志願者が各々1つのスライドで1分間のプレゼンをするというもの。私は志願しませんでしたが、うちのグループからも一人志願したようです。

また、Hoffmann教授は音楽にも精通しており、滞在中に楽団の指揮も務めるとのこと。多才ですね。一昔前の科学者は1つの分野に固執することなく、多様な学問を極めていました。ダビンチ、ユング、シュレイディンガー、シュタイナーなどもそうですね。アルドール反応を発見したのはロシア人の科学者であり、『韃靼人の踊り』で有名な歌劇『イーゴリ公』を作曲したアレクサンドル・ボロディンです。

アレクサンドル・ボロディン

アルドール反応(Wikipedia)

今回のレクチャーではChemistry in Art, Art in Chemistry, and the spiritual ground they shareというタイトルの講演で芸術を化学に見出しているのが伝わりました。ペルシアンブルーなどの古代から使われている色素、写真を暗室で現像する仕事は芸術そのものだったと。今は液晶やOLEDSに置き換わって若い人は知らない事が残念そうでした。

「もし宇宙人が来たら、我々の科学には興味がないだろう。彼らにとってあまりにも未熟だからだ。でも彼らが興味を持つとしたらその科学や知見を利用して作り上げたこの文明だ。これが私たちの遺産で、それを見るためなら少しの間なら滞在してくれるだろう」と話されていました。

82歳とは思えないほどイキイキと話されていたのが印象的でした。来週月曜日にはサイエンスの講義をしてくれるので楽しみにしています。