第一弾に続いてHoffmann教授の二つ目の講演を聞いてきました。化学科で最も大きい会場は超満員。PhDやポスドクは勿論のこと学部生、会社員まで押しかけました。
一回目の講演では芸術と化学の相違点に関してじっくり話していただきました。
二日目はがっつりSCIENCEの話。題名は「All the ways to have a bond」
ポップなフォントがなんともかわいらしい。
量子化学的な観点から様々な結合の捉え方や軌道の世界に浸らせてもらいました。
簡単にどんな話だったか以下に書いていきます。
有機化学が発展し始めた1800年代は構造の表し方は研究者によりバラバラで構造式を用いての会話ができませんでした。各々がそれぞれのcriteriaを用いていたためです。式を用いた表し方や大きな丸をたくさん書く表し方など。電子や陽子、原子の定義すら曖昧でった時代に化合物を表すのは至難の業。
中でも面白かったのはケクレが提唱したソーセージ構造
現代有機化学の記述法に慣れているため違和感はありますが、視覚的に構造を理解できる点では画期的な表し方です。現にこの表記方法が現代の表記法作成時に参考にされています
また、化合物を見るためにX線構造解析が約110年前に開発され、それから化合物のデータベースが作成され続けていて、The cambridge structual database には現在100万以上の化合物が登録されています(もちろん僕の作った化合物も登録されてます。)
発起人が有機化学者であったためヨウ素は登録されたいないのだとか。しかし、トリアイオディンは登録されている。何故でしょう?カウンターカチオンが有機物である可能性があるからだそうです。思わず笑ってしまいました。
後はスイスのIBMがolympiceneの可視化に用いたeletrostatic force microscopeにも言及し、もっと利用されるべきだと話していました。
2時間越えの盛りだくさんの講義でした。理論分野は得意な方ではないので理解するのに手一杯でしたが、新たな疑問点やインスピレーションがあったので実りある時間でした。