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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

試薬のクエンチは気をつけましょうね~

  

こんにちは。

皆さんは使わなくなった試薬をクエンチ(潰すこと)したことはありますか?

僕は何度もあります。

学部生時代からLDAやLiHMDS、BuLi、DIBALなどを沢山してきました。

ただ、以前の日本時代の大学でクエンチをするのは、ほとんど使い終わっていて少ししか残りがなく、シリンジで吸えずクエンチするパターンでした。



しかし今回初めて25ml以上のピュアな試薬をクエンチすることになりました。

画像はイメージです。


ラボに所属していると年に二回、夏と冬にinventoryと呼ばれる、いわゆる試薬管理があります。

研究室にある試薬を試薬表と照らし合わせ、試薬の有無、番号と名前の一致、置き場所の訂正などを行います。

僕は今回で4回目の試薬管理でした。

一年生と組んで2人組でチームが所持するすべての冷蔵庫内の試薬をチェックすることになりました。

正午過ぎ、最後の一つの冷蔵庫に取り掛かりました。

その冷蔵庫は最も汚いといわれ、嫌なにおいがプンプンする冷蔵庫です。

実はその冷蔵庫、僕のボスが購入したものではなく、ボスがこちらに来る前にその部屋を使っていた教授からいただいたものなのです。

こちらには「飛ぶ鳥跡を濁さず」ということわざはない様で、ラボを卒業する時でも自分のデスクにあったものや、ベンチ、フュームフッドにあったものをそのままの形で置いていきます。

引き出しの中など、モノというかゴミというかが散乱しているので、一年生はまずその掃除からおこなうというかわいそうな目にあいます。

つまり、その冷蔵庫の中には僕らの研究分野では使用しない試薬、いつ調整したかわからない真っ黒な試薬などが引き出しに入っていました。

僕のボスがいまの大学に移ったのは5年前なので、それからというもの誰も手を付けず、だれも処分しようとしませんでした。

そりゃそうです。得体の知れないものやたっぷり残った試薬などだれもやりたくありませんからね。

なので、今回僕らがやることにしました。

全ての試薬をチャックし終わってから、10本ほどのシュレンク管を一つずつクエンチをしていた時です。

全然、キャップやコックが取れないやつが現れました。

コックなんてもう酸化してぴったりとくっついていたのですが、同時にガラスがとてももろくなっていたらしく、少し力をかけたら僕の手の中で割れて、左親指に切り傷を負いました。


幸い、小さな傷だったので良かったです。

ゴム製の厚い手袋を使ったほうがよかったですね。


そこからはあと一年生にやってもらうことにしました。

この一年生、なぜかクエンチにものすごい情熱を持っていました。

やる気がすごいのです。おもわず笑ってしまいました。

のこり2個となり、それらはBBr3でした。

たっぷり、ピュアな奴です。


ネットで調べてMeOHでクエンチすると載っていたみたいでそれでやることに。

メタノールに少量BBr3を入れた瞬間にポンと音が鳴って緑の炎が上がり、フュームフッドは煙だらけになり、臭いがラボに充満しました。

幸い誰もケガせず、試薬に侵される人もおらず、一晩換気のために部屋の窓を全開にするだけで済みました。

おそらく入れ方が急だったみたいです。

翌日、メソッドを少し改良し、THFで希釈し、少し撹拌したのちに、そこにMeOHを滴々する方法で何も起こらず、無事すべての試薬をクエンチし終えました。


少し怖い思いをしましたが、これでみんなが置ける試薬の場所が増えてきれいに実験を施行できるのでやってよかったです。

皆さんもクエンチの際は十分に注意して、必ず二人以上でやりましょうね。


余談ですが、こちらではシークレットサンタという催し物があります。


今年はクリスマスディナーがコロちゃんのせいでなくなったので代わりにシークレットサンタをすることになりました。


プレゼントを渡す人を極秘に知らされ、プレゼントの送り主を当てるというゲーム。
予算は25CHFでした。

私からは無地のノートとPILOTの書き心地最高なペンをプレゼントしました。

私にはポスドクからfriendsのカードゲームをいただきました。

以前friendsを使った英語の勉強を勧めてくれた先輩からです。

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あとボスからはメンバー一人一人に大学のTシャツの無料バウチャーがおくられました。

結構うれしいものです。

初めての経験だったので良かったです。


今回も読んでいただきありがとうございました。

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