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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

学生実験終了TA!〜バーゼル生活〜

こんにちは バーゼル博士です。

約一か月半続いた学生実験のTAが終わりました。

はじめて海外の大学のプラクティカルのTAをしてみてどういう流れでやったのか、どんな内容だっかか、TAの実務はどれくらいかなど紹介します。

ラクティカルって?

ラクティカルとは実習という意味で実際に手を動かして自分で実験をすることです。 今回私が担当してのは有機化学Ⅲの実習で学部2年生の1学期でした。学生は大体20歳でしたね。

どうやって選ばれたのか?

PhDを取るために実習で約400時間教えなければいけないルールがうちの大学にはあります。(PhDの学生の数で変動するみたいですが) 教授が時間を計算し足りない学生にTA業務を振ります。 私はまだ一年なので足りないも何もやるしかないといった感じです。 今回の実習は8人の学生が化学科の中から選ばれました。

大まかな流れは?

TAは二人ペアになり8人の学生の実験を指導します。 学生は14個の実験をすべて一人で行わなければなりません。 TAは7個ずつそれぞれ実験を指導します。 初めの一か月半、後半の一か月半をそれぞれ一人で監督します。 月曜と火曜は学生たちは授業とテストを行います。水曜から金曜までが実験日になります。 水曜日は10am-18pm, 火曜は13pm-18pm、金曜は10am-18pmです。 学生たちは単位を貰うためにテストと実験の両方の基準を満たすのが条件になっています。

TAは授業とテストを担当するTAと実験を担当するTAに分かれます。 私は実験を担当するTAだったので水曜の朝9時半に会議室に行き問題点や議論すべき点などを担当教授と話し合います。 その後実験室に移動し12時まで指導した後1時間のお昼休憩をはさんで6時までまた監督します。 木曜と金曜は会議はないので実験監督だけです。

どんな内容?

内容的には非常に濃い物でした。 学生たちは分液操作や精製操作を行ったことがないのでそこから教えます。 初めの実験は抽出、カラム、再結晶でした。 その後還元、Sn1, 2反応、E1, 2反応、カルボニル化学、芳香環置換、酸化など基本をすべて実践します。 実験終了後はプロトコルと言って日本で言うレポートを実験ごとに提出します。 反応機構や手順は勿論のこと、NMRやIRは一人で測定し、解析項目まで論文さながらに書けるように指導します。 修正は第一ラウンドしか許されておらず、修正版を提出した際に前回のミスが直ってなければもう一回実験をやり直させる必要があります。 晴れてアクセプトされたプロトコルはTAがdropboxに挙げて教授が確認し完了となります。

具体的なTAの業務は?

端的に言うと極限のマルチタスクです。 一人で八人を見ており、学生はいつでも質問できる状態です。 さらにプロトコルをその時間の間に直し、改善点を説明する必要もあります。 NMRのスペクトルもTAが一緒に見て、モノかどうか不純物はないかなど判断します。 これを八時間続けます。

でも、私には非常に楽しく感じられました。 最初はシリカの積み方も知らなかった学生たちがTLCを見てカラムを自主的に始めるのです。嬉しくなりますよね。 文献の収率の半分を越えないともう一回やる必要があるのですが、中にはそれを超えるのも一苦労の実験があり、一緒にフラスコの壁にへばりついた結晶を必死に掻き取ったことなど楽しい思い出しかないように思えます。

もしかすると教師向きなのかもしれませんね。 両親が教師なので、、、。

総じて、こんなにやったらあとで楽だろうなーと感じました。 僕なんかが4年生で研究室に入ってからやったことをもう2年生でできるなんて羨ましい限りです。 今回は僕にとっても非常にいい経験になりました。

後二回くらいはTAやると思うので楽しみですね。

では この辺で。

See you ^^