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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

スイスの博士課程での最後の仕事が遂に完結!!

みなさん、こんにちは!本記事では、スイスでの博士課程中に行っていた最後の研究がついに公開されたお話をしたいと思います。私が扱ったのは「速度論的光学分割と天然物の骨格合成への応用」という、なかなかマニアックなテーマ。この研究が世に出るまでの道のりは、本当に長くて険しいものでした。実際には4年かかったと言っても過言でもありません。(本当に成し遂げたかった当初の反応開発は困難すぎて全く成功の兆候が見えなかった)

以下の方々に適している内容になります。

留学生を目指す学生:特に科学系の大学院プログラムに興味がある学生。
科学系の大学院生:理学、工学、薬学などの分野で研究している大学院生。研究テーマの選定、研究過程での苦労や達成、学位取得後の研究公開に至るプロセスに興味がある学生。
キャリアを考える大学生:大学生活を通じてキャリアの選択肢を考えている学生、特に研究職や学術界に進むことに興味がある学生。博士課程の選択やその後のキャリアパスについて考えている段階の学生に、具体的な例や経験談が役立ちます。博士課程の経験を通じて得られるスキルや、博士後のキャリアについてのリアルな情報を求めている方

プロジェクトテーマと課題

速度論的光学分割って聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれませんね。簡単に言うと、鏡像異性体の50:50の混合物を反応を使って分割する技術ですね。これが医薬品の製造だけでなく、色々な化学製品にも応用できるわけですよ。鏡像異性体同士全く異なる性質を持つ分子なので、薬害を発生させないためにも効率的な光学分割は産業でも利用されています。

このテーマで研究を進めていたんですが、最終学年まで本当に達成したい方法論を達成することができていませんでした。そこで、ソコソコの結果だが面白いと思っていなかったデータを利用して面白い論文にするために実験することになりました。反応最適化を順調に終え、天然物への応用をガツガツ進めていたのです。ですが、なかなか天然物合成を達成できませんでした。結果、博士課程終了の3ヶ月前に大きなルート変更を余儀なくされました。急遽別のアプローチを試すことにしたんです。時間はなかったものの不思議なことに焦ることは全くなく、自分なら出来ちゃうだろうなって感覚でした笑

結果きちんと終わらせられました!!

卒業後も書き書き

博士号を取得してから、この研究結果が世に出るまでには、実に1年近くかかりました。新しい職場で働き始めて、研究に取り組めるのは夜中のわずかな時間だけ。育児もあるので時間をかき集めるのが大変でした。それでも、この研究を完成させたい一心で、何とか時間を見つけては少しずつ書き進めていました。

学生だった時は給料出てたので、正当化できましたが卒業した今では元ボスから給与は支払われていないので、完全なボランティア。僕はそんなに安い人材じゃない!

まぁ、自分の残した仕事ですし、ボスにも感謝があるのでベストを尽くしました。

研究を終えて

研究成果がようやく公開されたときはやっぱり嬉しかったですね〜。何年もの時間を費やしたプロジェクトが終わり、それが科学界から認められる瞬間は、本当に言葉にできないほどの達成感がありました。スイスでの生活を終え、残してきた仕事も一段落。これでようやく、心のモヤモヤが晴れました。

まとめ

研究の世界は予想もつかない困難がいくつもありますが、一つ一つ乗り越えていくことができれば、それだけで大きな成長につながります。

みなさんにも、何事にも挑戦してほしいと思います。困難に直面したとき、その壁を乗り越えた先には、予想もしなかった素晴らしい結果が待っているかもしれません。私の経験のシェアが、皆さんの何かの助けになれば嬉しいです。ありがとうございました!