有機合成系研究室って実際の所ホントにブラックなの?

こんにちは。

今頃日本の学生は夏休みに入る頃でしょうか。
スイスの大学でも勿論あります。
学部生は3か月ほどもあります。
その間にインターンシップをしたり、就職活動をしたりするみたいです。
博士学生はというと日本の学生と同じように自己申告制になります。

消えかかっている修士のころの記憶をたどると、夏休みはお盆、冬休みは30日から4日まで、春休みはあったりなかったりといった感じだったかと思います。

こちらではあくまで教授に雇われている身であり、有給休暇になります。一年に25日認められ、そのうちの5日間は連続で取得する義務があります。

全て使うも余すもその人次第です。
去年は一週間ほど余しました。
かといって次年度に繰り越せるわけではありません。

日本のようにほぼすべての学生が情熱をもって、自分の生活なんぞどうでもいいという集団とは異なり、こちらの博士課程学生は自立した生活を送れる収入がもらえるという理由で博士進学をする人も実際の所います。

また地域柄なのか割かし有給取得率は高いとも感じます。

今夏に祖母や実母が旅行に来てくれる予定でしたがコロナによりキャンセル、年越しは帰ろうかと思っていますが第二波の到来で雲行きが怪しい感じです。

さて、本題に入りましょう。
この季節になると日本の研究室では学部3年生がウロチョロし、研究内容とグループの雰囲気を勘繰りに来ます。

そこで話題に上がるのは有機系の研究室はブラックだから、、、的な議論です。

なので今日はそのブラックという噂は事実か否かを3年間日本の有機合成研究室にいた経験から書かせていただきます。



まず、有機合成の何たるかを知る必要があります。
有機合成とは有機物を自分の手で合成する学問です。
合成的価値のある天然物の合成、新規反応の開発、面白い物性をもつ化合物の合成などがあげられます。

今まで教科書に書いてある反応や化合物の性質を覚えてきたかと思いますがそれは嬉しきかな氷山の一角にすぎません。

また、既知反応の数でも膨大ですが、反応させる条件もこれまた膨大です。共存する官能基や精製の仕方などを鑑み適切な条件を選択、もしくは条件を振るという言い方をしますが様々な試薬、温度、溶媒を試し反応最適化を図ります。

一つの反応をいかせるだけで数か月間、条件を振ることもあります。

だんだん時間がかかる理由がわかってきましたか?


反応時間も反応に依存して変わります。秒で終わるもの、日かかるもの。


また、少なくとも目的の化合物をNMRで確認できるくらいには精製する必要がありますので精製にも時間が必要です。

そのきれいな化合物を次反応に用いる。

この繰り返しです。

故に有機系のラボでは深夜に電気がついていることはザラです。

しかし、これをブラックと呼ぶか学問に熱中していると呼ぶかはその人次第です。


わたしは完全に後者です。

皆さんは子供のころ時間を忘れて友達と遊び、門限を過ぎて親に心配をかけて怒られたことはありませんか?

私にはこの時間を忘れてという感覚がしっくりきます。

反応を開始した際、時間を記録するために時計を見ますが、時刻を知りたいから見るわけではありません。何分後にTLCを確認し、どれくらい時間がかかる反応かを後々計算するために見ます。


実験している間は、時間を忘れるくらい自分の化合物たちと夢中になって遊んでいるのです。

完全に個人的見解になりますが、ある程度成長すると皆子供のころのように熱中するものがない人が多いように感じます。

しかし、我々研究者は毎日本気になって遊んでいます。
こんなに幸せなことはありません。

そして、その結果が人類の利益になることさえあるのです。
その一端を担うことができる可能性があるってこれまた幸せなことですよね。

言いたいのは、興味があるのなら所属してみればいいです。
そして一年待って、いや、嫌ならその場で教授陣にわがままを言えばいいです。
最低一年も待てば院で簡単に研究室を変えられます。

まだ、若いんです。リスクはありません。
したいようにしてみてください!

では、幸運を祈ります!