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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

PhDディフェンス終了➔スイスで博士号取得しました!

スイスの大学院博士課程で有機合成化学を専攻し迎えた5回目の春。無事博士公聴会と試験を突破し、博士号を取得しました。経験をシェアできたらと思い本記事を執筆しました。

本記事は主に以下の方に向けて書いています。

  • スイスで博士号取得を目指している
  • 博士号に興味がある
  • 海外留学に興味がある
  • 海外の公聴会に興味がある

 

 

博士号(Doctor of Philosophy)とは

Doctor of Philosophy(ドクター・オブ・フィロソフィー)は、おもに英語圏で授与されている博士水準の学位である。直訳では「哲学博士」となることから分かるように、伝統的には、伝統4学部のうち職業教育系の神学法学医学を除いた「哲学部(ないし教養部)」のリベラル・アーツ系の学位であった。現在では、伝統4学部のうち職業教育系の神学法学医学を含むばかりではなく、様々な種類の学問について授与される。(Wikipedia

試験内容

博士課程の最後の試験です。

論文審査

博士課程での成果をまとめた博士論文を審査メンバー(教授陣3人)に提出し、まず博士論文の合否を受けます。私の場合は公聴会1週間前まで実験を続けており、纏まって論文を書く時間はありませんでしたが何とか時間を捻出し効率を上げることで書き終えることができました。どうやって書き上げたか興味のある方は以下の記事を参照ください。勿論博論は合格!

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口頭発表

4年間の成果を簡潔にスライドに纏めて30分ほどで発表。こちらはパブリックなので、家族、恋人、パートナー、ペット、婚約者、配偶者、子供など誰でも参加可能です。女性のディフェンスではドレスを着て発表する方も。

口頭試問

発表の後はプライベートの試験で、教授陣3人と博士候補者のみ部屋に残り1時間程度の口頭試問を行います。

外部審査員という存在

コチラの大学では他の大学の教授を外部審査員として招きます。公平性のために直近5年間に共同研究やインターンシップをしていないことが条件です。

いざ発表!

カジュアルなジャケットをシャツに羽織って登壇。化学科中の友人が駆けつけてくれました。来てくれた一人ずつと感謝を込めて握手やハグをして迎え入れます。学生としての最後の研究発表なので気合を入れ、毎日コツコツと2回ずつ発表練習。計50回以上練習し本番へ。すべての動作が小脳に叩き込まれていて余裕でした(笑)最後の謝辞の所では少しうるっと来ましたが、ボスも目が赤くなっているのが見えて、何だか可笑しくなりました。

口頭試問に挑戦!

成果に対する質問や議論、関連する一般的な化学知識を問われました。黒板を使って丁寧に質問に応答していきます。準備して臨んだので研究に関する事はスムーズに答えられましたが、重箱の隅を突く質問を皮切りに繰り出される膨大な知識の引き出しには時間がかかりました。軌道論について30分も突っ込まれるとか聞いてないから!1時間の試問の70%は「おい、そんな事聞くなよ!」って感じの質問で結構焦りました。これ落ちたなと少し頭によぎる程。

で、結果は!?

試問を終えた後部屋から退室させられ、教授陣のみで合否を議論します。およそ10分後、もう一度部屋に呼ばれ告げられたのは‥

「After a rigorous examination, we now confer upon you the title of Doctor of Philosophy. Do you hereby pledge that, as a doctor of philosophy, you will continue to contribute to the development of science and human society without falsehood?」

「厳正な審査の結果、あなたに「博士」の称号を授与します。あなたは、博士として、偽りなく科学と人類社会の発展に貢献し続けることをここに誓いますか。」

何とか合格できました!!!!そして評価は6点満点中5.5点!(博論と発表と試問全て5.5でした)

上出来やん!!まさか博士になる日が来るとは。

清々しいApero

合格できたのでAperoを開催!日本人の方が経営されているお店にお寿司のセットを作ってもらいました。超絶人気であまり食べられなかった笑。本物の職人さんの寿司に友人たちは「これがモノホンか!」と感激しながら舌鼓。

美味でした!!

スーパーの取り寄せも

 

審査の先生やボスとも長話をして、少しずつ実感が湧いてきました。そして、グループの皆からSwissWatchのプレゼント!日本に帰るから大きい荷物は避けてくれたみたいで、高級時計とお手紙が入っていました。最高の友人たちに巡り会えた4年間、楽しかった〜

これからやる事

論文を製本します。日本でやろうと思ったのですが、かなり厳しいルールがあるらしくスイスで製本する事にしました。でも恐らく帰国した後で、友人に頼むと思います。製本された論文を大学の図書館に送り、電子データをアップロードすれば全て終わりです。

まとめ

いかがでしたか?雰囲気が掴めたでしょうか。幸運な事にハイブリッドシステムでの発表だったので日本にいる家族や友人も招待出来て感極まりました。やっと終わった〜って感じです。少しでも参考になれば幸いです!