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スイスで博士号を取得したScientistの徒然なるひとり言

大公開!理系研究者の新卒初任給事情ー博士号保持者のキャリアスタート

今回は、理系研究者が博士号を取得した際の新卒初任給に焦点を当ててお話ししたいと思います。理系分野での博士号取得者がどのような給与を期待できるのか、興味をお持ちの方は必見です。足のうらの米粒( 取らないと気持ち悪いけれど、取っても食えない)と言われる日本の博士号取得者のキャリアスタートの初任給はずばり?

本記事は以下の方向けに書いています。

  • 博士号ってなに?という方
  • 博士に行く価値が知りたい方
  • 新卒の給料に興味関心がある方

 

博士号の価値

個人的には理系の博士号は、深い専門知識と研究能力を証明するものとして非常に高い価値があると考えています。そのため、企業や研究機関は博士号取得者を重要なリソースとして捉え、高度な研究プロジェクトや専門的な業務に活用することが望ましいです。

博士号取得者が有しているものは、

  • 自分で研究を推進する力
  • 情報収集能力
  • 情報処理能力
  • 思考力
  • ひらめき力
  • えげつない精神力
  • はんぱない忍耐力

など最高学位にふさわしいものばかり。

日本企業からの冷ややかな目線

そんなスーパーマン博士ですが、日本の企業からは嫌われていました。専門性が高く、一般的にプライドもたかい博士は企業からするとコントロールが効きにくく、扱いずらい存在として捉えられてきました。そのおかげで日本の博士は減少傾向に。学部生が増加傾向に対し、博士学生は横ばいです。どれだけ魅力的に映らないのかわかりますね。

人口が日本の半分の韓国が、博士号取得者数を上回っているので、異常な数値だと思います。

日本経済新聞より

日本経済新聞より

海外の博士取得者たち

私のバックグラウンドから知っていることを書くと、海外の博士号取得者は決まって

  • 好待遇
  • 高所得

ですね。私が博士号を取得したスイスでは年収1000万を超えるのが普通です。

それだけ海外の企業では博士を重要な存在として雇用しているのがうかがえます。

日本も近年は改善傾向

近年はようやく博士号取得者の重要性が再認識され、大企業やベンチャー企業などは積極的に博士を採用するようになっています。

しかしながら、以下のようにまだ企業側に足りない努力もあります。

  • 博士号取得者に短期的な結果を求めすぎる
  • 十分な投資(給料)をしない
  • 成長機会を提供できない

www.nikkei.com

新卒初任給の幅広さ

博士号取得者の新卒初任給は様々な要因によって左右されるのもまた事実。勿論ですが、所属する組織の規模や評価が大きな影響を与えます。大手企業や国際的な研究機関では、高い初任給が期待される一方で、中小企業や地方の研究機関では給与が低いことがあります。

研究分野の需要と給与

研究分野によっても初任給に差が生じます。例えば、人工知能やバイオテクノロジーのような急速に発展している分野では需要が高まっており、それに伴い初任給も高い水準になることがあります。製薬企業も平均値が高いです。

これに関してはこちらのブログでまとめてくださっています。

役職や職階の重要性

研究者が博士号を持っているだけでなく、その後の経験や職階も初任給に大きな影響を与えます。リーダーシップの要素が強いポジションや管理職への昇進が見込まれる場合、初任給はもちろんアップします。

地域による給与の違い

最後に、生活費の違いが影響を与えることも覚えておきましょう。都市部では給与が高くなる傾向がありますが、同時に生活費も高いため、総合的な収入と生活のバランスを考慮することが重要です。

私のケース

私のバックグラウンドは海外大学院で理学博士号を取得し、現在東北の日本企業で素材開発の研究をさせていただいています。妻(個人事業主)と子供(年少クラス)がいて、3人で2LDKの部屋に住んでいます。

以下に家計簿の一部を載せました。3人家族で月の固定費が約17万といったところ。

家賃 ¥82,000
ガス ¥4,430
電気 ¥5,241
水道 ¥4,866
食費 ¥65,828

新卒一年目で手取りは固定費の倍以上いただいているので、問題なく生活できています。子供が小さいため残業するのも月5-10時間で、17時半には家にいます。

まとめ

以上が、理系研究者が博士号を取得した際の新卒初任給に関する一般的な傾向です。ただし、これはあくまで目安であり、具体的な給与は各組織や個人の状況によって異なります。自身のスキルや希望するキャリアパスを考え、複数の選択肢を検討することが重要で、自分が価値を最大化できる場所で働くのが重要だと思います。

これから日本では、博士号取得者がますます重要になってくるでしょう。高い専門性を身に付け、社会に還元できる機会が増えるといいですね。

 

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スイス留学での博士号取得: ヨーロッパの知識の宝庫を探索する旅

本記事はスイスで博士号を取得した筆者が「スイス留学での博士号取得: ヨーロッパの知識の宝庫を探索する旅」と題して項目ごとにスイス留学の魅力を伝えていこうと思います。以下の方々に役に立つ記事になっています。

  • スイス留学を視野に入れている
  • 海外で博士号を取得したい
  • 知識として知っておきたい
  • 留学や博士号取得に興味がある

 

はじめに

言うまでもなく、博士号の取得は、学術的な成長とキャリアの発展において大きな一歩です。その中でも、スイス留学はその魅力的な環境と質の高い教育体系で知られています。本記事では、スイス留学での博士号取得に関する重要な情報を提供します。

1. スイス留学のメリット

スイスは、世界的に評価される高い教育水準と研究機会を提供する国の一つです。博士課程の学生には、先進的な研究環境と国際的なネットワークが広がっています。スイスは多くの国際機関の本部があり、異なる分野での交流と連携が期待できます。

もちろん留学先のメンバーも多国籍になることが普通で、様々なバックグラウンドの方々とお互いの文化を理解し、尊重しあうことも学べます。

また、PhDに関して言えば通年採用なので各々自分の都合で入学時期を選択することもできます。入学時期はボスとのやり取りで決定可能です。僕は日本で修士をとってからダイレクトで渡欧し4月から研究を開始しました。他のメンバーは9月、11月、12月、1月入学と多様です。

 

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2. 留学の手続きと応募

スイスの大学への応募は、大学ごとに異なる場合がありますが、一般的にはオンラインでの応募が一般的です。必要な書類には成績証明書、研究計画、推薦状などが含まれます。また、ビザや滞在許可の手続きも事前に行う必要がありますので、早めの準備が大切です。

僕の場合ですと、研究室にアプライする際は、カバーレターと履歴書、研究概要、さらに連絡がつく参考人の方の情報をPhDであれば2人、ポスドクであれば3人必要でした。これらをPDFに纏めてメールで応募しました。そもそもPhDの空きがあるかすらわからない場合はメールで「研究に興味があってPhDの学生になりたいと考えているが、募集はしているか」と聞いた方が早いです。

日本とは異なり、まず所属を希望する研究室のボスに連絡を取り、実力があれば面接に呼ばれ、OKサインが出てから大学への入学手続きが始まります。

面接は今のご時世オンサイト/ラインを選択できるのが普通です。僕の経験から言うとオンサイトで実際に研究室を訪問し、プレゼンをして、メンバーと話してみるのをお勧めします。ファシリティを実際に見ることもできるので、博士学生として過ごす時間を想像しやすくなります。

ビザに関しては、入学が正式に認められるとラボの秘書さんが手続きを行ってくれますので、心配しなくていいでしょう。

3. 研究環境とプログラム

スイスの大学は、高度な研究設備と質の高い教員陣を誇ります。専攻分野によって異なりますが、工学、自然科学、医学などの分野で世界的に有名な大学が点在しています。学際的な研究が奨励されており、異なる分野の知識を結びつける環境が整っています。

欧州の地理的に中心にあること、周りを4つの国に囲まれていることも起因してか、かなり潤沢な資金で研究することができます。

僕が所属していた大学は博士課程は大体4年で取得を目指します。延長もできて、1年半伸ばした方もいましたし、半年延長はざらに居ます。僕は1か月延長しました。公聴会と試験を受けて、不合格だった場合、もう一度だけ試験を受ける権利がありますが、それでも博士を取れないときは退学になります。

教授との雇用関係を結んで研究するので、ラボにもよりますが一日8時間労働の契約を締結します。しかし、あくまで学生であり、結果を出さなければ首を切られるシビアな世界なのでそれ以上働いて、結果を取りに行くのが普通です。もちろん残業代は出ません。

 

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4. 奨学金助成金

日本ではあまり考えられないことですが、海外の大学院では給与をもらいながら研究するのが普通です。その額は国、大学、研究機関によりますが、スイスの場合、借金をして学生をする必要はありません(豪遊しなければの話です)。教授が金銭的リソースを管理しているので、この学生にお金をはらう価値があるかを面接ではシビアにみられます。もし、採用の可能性を上げたいのであれば奨学金助成金の利用が可能です。自分でお金を持ってこれる学生は優秀であることの証明ですし、ボスのリソースを割かずに済むからです。スイス政府や大学、研究機関、国際機関からの奨学金情報を収集し、適切な応募手続きを行いましょう。奨学金の授与基準や申請締切に注意することが重要です。僕はスイス政府奨学生として採択されていました。教授から頂く給与の約半分を奨学金から頂いていたので教授はそのリソースを他に使うことができていました。

 

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5. 生活費と住環境

スイスは生活費が高い国の一つですが、博士課程の学生の給与であれば十分に生活できます。大学のキャンパス内や近隣の地域には学生向けの住宅施設が用意されており、適切な住環境を選ぶこともできます。僕の場合は2年間は学生寮にいて、その後一般のアパートに引っ越しました。1DKでしたが、日本のアパートに比べるとかなり広く、ベランダだけで、6畳くらいありました。

 

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生活コストを抑えたい方であれば、ルームシェア、フラットシェアをしている学生も多くいますので、選択にいれてみてもいいでしょう。

 

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オススメは近くにスーパーがあって、勤務地にも徒歩で行けるところですね。出勤に時間をつかうのは賢明ではありません。

6. 言語の問題

スイスは複数の公用語(スイスドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が話されており、大学や研究機関によって使用される言語も異なります。しかし、国際的な研究機関であれば、みなさん流暢な英語で話します。学部生でも普通に英語は問題なく、大体三か国語平均で話せます。

問題は現地語をどれだけ習得できるかだと思います。カフェやレストランはスイスドイツ語を話せた方が無難ですし、なにより数年間滞在するなら現地語はできるようになっておく、もしくは勉強しておくと便利です。転入の際に言語スクールのバウチャーをもらえるのでそれを利用するのもいいでしょう。

 

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7. カルチャーショックと異文化適応

異国の環境での生活は、新たなカルチャーや習慣に適応することが求められます。スイスは多様な文化が共存する国であり、地域によっても異なる特徴があります。初めての経験に対する柔軟性や対応力を養うことが、スムーズな異文化適応に繋がるでしょう。

ネットが発達したから海外の情報を得やすいといってもたかが知れています。現地で生活してこそ気付けることが多々あります。メディアでは誇張されますし、伝えていない事実もあります。異文化を感じるのが人生経験として重要で、人生の肥やしに間違いなくなります。

 

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8. 研究成果の発信と国際的な交流

スイス留学においては、研究成果を国際的に発信し、他の研究者との交流を深める機会も豊富です。国際会議への参加や論文発表によって、自身の研究が世界に広がるチャンスを得ることができます。研究ネットワークを築くことで、将来の研究やキャリアにプラスとなるでしょう。実際に僕がPhDをしていたのは名だたる国際企業は本社や研究機関を置く場所だったので、昨日まで同僚だった学生がPhDをとってそこで働き始めるのはざらですし、バーで隣り合ったのが大企業の研究者ということもあります。ここでは書けませんが、いろんなことを聞けるのでいいですよ。

 

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9. 健康保険と医療サポート

スイスでは、健康保険の加入が義務付けられており、留学生も例外ではありません。健康保険に関する手続きや選択肢、医療サポートについての情報を事前に確認し、留学中の健康管理をしっかりと行いましょう。急な病気やケガに備えると安心です。

僕が採択されていた奨学金では月の支払いを全て奨学金側が払ってくれていたので、金銭的には非常に助かりました。

さらに、収入によって控除が受けられるので手続きをする価値がある方はしてもいいかもしれません。僕はスイスで妻と息子の分の控除を受けていて、保険料がかなり安く済んでいました。

 

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10. 娯楽と余暇の過ごし方

留学生活は学問だけでなく、リラックスや余暇を楽しむことも重要です。スイスは美しい自然環境やアウトドア活動の場所が豊富で、ハイキングやスキー、湖でのレジャーなど、さまざまな娯楽が楽しめます。地域の文化イベントや観光名所を訪れて、留学生活を充実させましょう。

一時は毎週末に山にハイキングしに行っていました。長期休暇ではAirbnbで一軒家をかりて大自然を満喫しました。最高でしたよ。

研究室でも夏と冬に旅行があったので気の知れた仲間とわいわいやれて楽しいです。

ルツェルンにて

湖の上から

フランスのコルマール

アインシュタインの部屋

ラボ旅行で訪れたエンゲルベルグ

インターラーケン

ツェルマット

グリンデルバルド

トリュプ湖へ息子をおんぶして

ベルギーのナミュール

おわりに

スイス留学は、博士号取得を目指す学生にとって貴重な体験となることでしょう。高い教育水準、研究環境、異文化体験を通じて、学問的な成長と個人的な充実感を得ることができます。将来のキャリアにおいても、スイス留学が新たな可能性を広げる一歩となることでしょう。留学の準備をする際には、しっかりとした計画と情報収集が大切です。将来のキャリアに向けて、スイスでの博士留学を検討してみてはいかがでしょうか。

Good bye!スイスでの最終出勤日 笑いと涙とクロワッサン

何事にも終わりは来ます。4年間のスイス生活も終わる日が来ました。PhDディフェンスが終わってからはデータ整理や引き継ぎ、担当機器の最終メインテナンスとマニュアル作成など、帰国するまでの2週間はかなり忙しく過ごしました。クリーンアップでは学部2年生の学生実験で購入してから博士号を取るまでお世話になったもはやdisgustingな白衣に感謝を込めてさようなら。

 washed several times though

そして迎えた出勤最終日。

グループのみんなに感謝を伝えるために何か出来ることはないかなぁと考えたところ、美味しいクロワッサンを一人一人に袋詰めして渡すことにしました。ラボの近くにはパン屋さんが沢山あるのですが、クロワッサンが美味しいお店をチョイス。プレーンとチョコクロワッサンを1つずつ入れた袋を人数分用意してもらいました。

それを持ってまず、オフィスに。3人がデスクワークをしていました。一番シニアの学生から感謝の言葉を伝えました。一人ずつハグをし、一緒に過ごした思い出をたくさんの笑顔で語りました。そのあとは一部屋ずつラボに回って、メンバーに手渡しました。

一番エモーショナルなのは自分が4年間いたラボ。そこには自分が2年生になりたての頃入ってきて3年間隣で過ごした共通の趣味を持つ友人や自分のプロジェクトを引き継いたマスターの学生、グループに加わって2週間ほどの一年生がいました。中でも3年間過ごした友人とはぎっしりとハグをして、感謝。うるっときました。

ボスとも4年間の思い出を懐古しました。4年前に自分を学生として受け入れサポートしてくれたから、科学者として、人として成長出来ました。Merci beaucoup

やっと全員に挨拶が済んで、実験台の型付けを完了し、物思いにふけりながら実験台を眺めていると、ラボにずらずらとメンバー全員が入ってくるではありませんか!午後からいなくなる事を知って、みんなの方からgood byeを言いにきてくれたのです。最後にみんなの笑顔と涙が溢れた瞬間でした。最高の仲間と人生でも指折りのchallengingな期間を過ごせたことが何より嬉しかったし、宝物ものです。

さて、次のステージに移る時がきました。コンフォートゾーンを抜けるのは勇気が入りますが、さらなる成長が待っています。そしてその舞台は祖国日本!何か社会に役立つことができたらいいなぁ。

【海外留学/海外勤務から本帰国】やった事、しなきゃいけなかった事(スイス編)

4年間のスイスでの生活を終えて我が国に帰還する時期が来ました。海外生活を確立した場所から移動するとき、目的地がましてや遠く離れた日本の場合にはやらなきゃいけない事がたくさんあります。本記事は私が本帰国に際して行った事を参考にいていただくために書きました。

  • スイスから本帰国する方
  • 本帰国の準備を始めようとしている方
  • どんな手続きがあるか、大まかに知りたい方
  • どれから手に付けたらいいか迷っている方

参考にしてください。

 

 

移民局に転出届を提出

Onlineで済ませたい方

こちら(Basel-Stadt imigration office)から、アクセス後、必要な情報を記入し、支払いを済ませると、後日、移民局から転出届が送られてきます。紛失厳禁です。

移民局に直接行く方法

心配な方は直接出向いてもいいのでないでしょうか。待ち時間が少ないお昼時を狙うといいと思います。この場合、転出届を紙面で受け取れます。

フライト日決定

約三か月前にフライトを予約しました。荷物が多いこと、当時1歳の子供が居る事から予約変更に融通が利くスイスエアーを利用し、直行便を選択しました。

アパート退去日決定

引き継ぐ方がいない場合

この場合は大体三か月前に不動産会社に退去する旨を伝えます。その際に必要なのは契約終了申請書です。自分で作成してもいいですが、こちらテンプレートを利用するのが簡単です。サインをして送りましょう。書留郵便がいいと思います。それを不動産会社が受理し、手続きが始まります。広告は不動産会社が出すのが一般的ですが、希望者の訪問対応、アプリケーション用紙の配布は自分でする必要があります。選定は不動産会社が行います。

引き継ぐ方がいる場合

こちらの方が簡単です。もし、誰かを見つけたい場合はRent my Basel(Baselの場合です)というFacebookページで人を探すとあっさり決まったりします。私の場合は日本人の学生が引き継いでくれることになったので、その方は申請書と負債証明書(余裕をもって用意しましょう)をメールで、私からは契約終了申請書を手紙で送りました。家具も引き継いでもらう場合は、どの家具を引き継ぐのか書面に残し、自分と引き継ぐ方の署名を入れておりましょう。

退去当日

不動産会社の担当者が訪問し、部屋の状態を細かくチェックし、OKならサインをして、カギを返し、終了です。

クリーニング日決定

クリーニングは必須

スイスでは引っ越しをする際、クリーニングを自分でするか業者に頼むかを決める必要があります。以前住んでいた学生アパートは小さい部屋だったので全て自分たちで行いました。しかし、二つ目の家は一般のアパートで掃除する場所を多いこと、引っ越しや他の手続きやら、子育てで忙しいことを考慮して、業者にお願いしました。

オーナーや知り合いに紹介してもらうが吉

クリーニング業者は沢山ありますが、評判や後で何かあったときのために、私はアパートのオーナーに業者を紹介してもらいました。業者が部屋に来て、どこをどのくらい掃除するかなどを話し合い、見積もりを出してもらいます。不動産会社と提携している掃除会社にお願いした所、フルクリーニングで590CHFでした。この金額には保険料も含まれています。それにより、掃除会社が明け渡し時に同席し、不動産会社から指摘された箇所をその場でもう一度掃除する際に追加料金を払わなくていいとのこと。煩わしいことになってほしくないので、業者さんに丸投げしました。

年金手続き

コチラはまだ行っていません。予定として書いておきます。

スイスで雇用されていたので年金を給料天引きで納めていました。スイスを離れる際は希望すれば返金されます。日本の口座に送ってもらう予定です。スイスでの離職が確認されないと手続きに入れないみたいです。

OASI

こちらも予定です。

OASIは確か社会保険料のことです。こちらも請求すればかえってきます。そのうち余裕ができたら申請する予定です。

保険会社に連絡

保険を解約するには転出届が必須です。PDFとして添付して、解約の旨をメールで伝えるだけで大丈夫です。

銀行に連絡

スイスで給料をもらっていた銀行口座は、滞在許可証の無効化と共に解約しなければいけません。スイスを発つ約一週間前に近くの支店に出向き、解約の旨を伝えました。残金は日本の銀行にトランスファーするか、現金引き出しで対応できます。Wiseでいけるかなと思っていましたが、ゆうちょ銀行などではなぜか全てを一度に転送することはできませんでした。(何故だかわかる方、ご教授願います。)そのため、日本の銀行へ転送を選択。5月31日にスイス銀行口座を閉じる約束をしましたが、6月中旬現在まだ預金は日本の口座に入っていません。

ネット回線会社に連絡

私が利用していたのはSUNRISEという回線会社で、契約終了には電話する必要がありました。電話自体は3分程で、簡単に解約できました。SIMはスイスを旅立つ日に解約予約し、Wifiルーターはそれより三日ほど前に指定された支店に直接持っていきました。不備があると100CHF支払うことになるので注意です。

日本に帰ってからのシム契約

あまり重要でないかもしれませんが、久しぶりの母国でネットがつながらないと誰とも連絡が取れません。契約しておいて損はないかと。私の場合は成田空港まで母が迎えに来てくれたので、シムは必要ありませんでした。実家について落ち着いてから格安シムを契約しました。

日本での転入届

日本入国後、早く転入手続きを済ませた方が後々楽だと思います。私の場合は転入先が本籍ではなかったので、帰国3週間後に転入手続きをしました。国民保険やマイナンバーの手続き、子育て支援の申請もあったので1時間30分ほど掛りました。余裕をもって市役所に行きましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。覚えている範囲で書いてみましたが、書きこぼしがあるかもしれません。ご質問がある場合はコメント欄に書いていただければ返答いたします。まだ手続き途中の物もあるので、追記していきたいと思います。

 

 

 

 

PhDディフェンス終了➔スイスで博士号取得しました!

スイスの大学院博士課程で有機合成化学を専攻し迎えた5回目の春。無事博士公聴会と試験を突破し、博士号を取得しました。経験をシェアできたらと思い本記事を執筆しました。

本記事は主に以下の方に向けて書いています。

  • スイスで博士号取得を目指している
  • 博士号に興味がある
  • 海外留学に興味がある
  • 海外の公聴会に興味がある

 

 

博士号(Doctor of Philosophy)とは

Doctor of Philosophy(ドクター・オブ・フィロソフィー)は、おもに英語圏で授与されている博士水準の学位である。直訳では「哲学博士」となることから分かるように、伝統的には、伝統4学部のうち職業教育系の神学法学医学を除いた「哲学部(ないし教養部)」のリベラル・アーツ系の学位であった。現在では、伝統4学部のうち職業教育系の神学法学医学を含むばかりではなく、様々な種類の学問について授与される。(Wikipedia

試験内容

博士課程の最後の試験です。

論文審査

博士課程での成果をまとめた博士論文を審査メンバー(教授陣3人)に提出し、まず博士論文の合否を受けます。私の場合は公聴会1週間前まで実験を続けており、纏まって論文を書く時間はありませんでしたが何とか時間を捻出し効率を上げることで書き終えることができました。どうやって書き上げたか興味のある方は以下の記事を参照ください。勿論博論は合格!

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口頭発表

4年間の成果を簡潔にスライドに纏めて30分ほどで発表。こちらはパブリックなので、家族、恋人、パートナー、ペット、婚約者、配偶者、子供など誰でも参加可能です。女性のディフェンスではドレスを着て発表する方も。

口頭試問

発表の後はプライベートの試験で、教授陣3人と博士候補者のみ部屋に残り1時間程度の口頭試問を行います。

外部審査員という存在

コチラの大学では他の大学の教授を外部審査員として招きます。公平性のために直近5年間に共同研究やインターンシップをしていないことが条件です。

いざ発表!

カジュアルなジャケットをシャツに羽織って登壇。化学科中の友人が駆けつけてくれました。来てくれた一人ずつと感謝を込めて握手やハグをして迎え入れます。学生としての最後の研究発表なので気合を入れ、毎日コツコツと2回ずつ発表練習。計50回以上練習し本番へ。すべての動作が小脳に叩き込まれていて余裕でした(笑)最後の謝辞の所では少しうるっと来ましたが、ボスも目が赤くなっているのが見えて、何だか可笑しくなりました。

口頭試問に挑戦!

成果に対する質問や議論、関連する一般的な化学知識を問われました。黒板を使って丁寧に質問に応答していきます。準備して臨んだので研究に関する事はスムーズに答えられましたが、重箱の隅を突く質問を皮切りに繰り出される膨大な知識の引き出しには時間がかかりました。軌道論について30分も突っ込まれるとか聞いてないから!1時間の試問の70%は「おい、そんな事聞くなよ!」って感じの質問で結構焦りました。これ落ちたなと少し頭によぎる程。

で、結果は!?

試問を終えた後部屋から退室させられ、教授陣のみで合否を議論します。およそ10分後、もう一度部屋に呼ばれ告げられたのは‥

「After a rigorous examination, we now confer upon you the title of Doctor of Philosophy. Do you hereby pledge that, as a doctor of philosophy, you will continue to contribute to the development of science and human society without falsehood?」

「厳正な審査の結果、あなたに「博士」の称号を授与します。あなたは、博士として、偽りなく科学と人類社会の発展に貢献し続けることをここに誓いますか。」

何とか合格できました!!!!そして評価は6点満点中5.5点!(博論と発表と試問全て5.5でした)

上出来やん!!まさか博士になる日が来るとは。

清々しいApero

合格できたのでAperoを開催!日本人の方が経営されているお店にお寿司のセットを作ってもらいました。超絶人気であまり食べられなかった笑。本物の職人さんの寿司に友人たちは「これがモノホンか!」と感激しながら舌鼓。

美味でした!!

スーパーの取り寄せも

 

審査の先生やボスとも長話をして、少しずつ実感が湧いてきました。そして、グループの皆からSwissWatchのプレゼント!日本に帰るから大きい荷物は避けてくれたみたいで、高級時計とお手紙が入っていました。最高の友人たちに巡り会えた4年間、楽しかった〜

これからやる事

論文を製本します。日本でやろうと思ったのですが、かなり厳しいルールがあるらしくスイスで製本する事にしました。でも恐らく帰国した後で、友人に頼むと思います。製本された論文を大学の図書館に送り、電子データをアップロードすれば全て終わりです。

まとめ

いかがでしたか?雰囲気が掴めたでしょうか。幸運な事にハイブリッドシステムでの発表だったので日本にいる家族や友人も招待出来て感極まりました。やっと終わった〜って感じです。少しでも参考になれば幸いです!

実験×育児で超多忙な博士課程学生が超絶効率よく400ページに及ぶ博士論文を書きあげた方法

本記事では博士論文を書くにあたっての経験談を綴ります。

主に以下の方に向けた内容です。

  • 毎日時間に追われていて勉強時間が取れない
  • 仕事の効率をアップさせたい
  • 自分の時間を確保したい
  • 最短で仕事をこなしたい
  • 子育て中で勉強時間が不定期にしか取れない

 

私の一日のスケジュール

今勉強時間が足りない、時間がないと思っているなら私の経験が役立つ可能性大です。私は博士課程最終学年に第一子に恵まれ、最終学年は育児だけでも多忙な時期を過ごしました。加えて、研究(有機合成化学)の詰めが公聴会の前まで続いたので、日中は博論に割く時間は皆無。最終学年時の私の一日のスケジュールを下に示します。

午前6時から午前8時育児

午前8時から午後6時実験

午後6時から午後8時育児

一言で表すならば、午前6時から夜8時まで物を書ける状態ではありませんでした。

博士号を取るためには4年間の成果をまとめた博士論文たるものを書かなければいけません。うちの大学院のごく普通の学生であれば、最後の4か月のうち2か月半で論文を書き上げ、その後、添削や公聴会の準備やらをして最終試験に臨みます。その間実験室に来ることはなく、デスクワークだけに集中します。私の場合はそんな時間はどこにもないように思えました。しかし、効率を爆上げし一日4時間の作業を3か月続けることで400ページに上る博士論文を何とか書き上げることができ、教授陣から高評価まで受けました。

私が試みた方法は今回の特定の場合だけでなく、受験や試験勉強を捗らせ、最短の時間で結果を出したい、自分時間の確保ができないけど成長したい場合等にも応用できます。

実際に行ったこと

朝やる

夜型から朝型に変更しました。ない時間を捻出しようとしているので夜やって疲れてバタンキューがいいかと試しましたが、すぐ寝ても朝は疲れが残り、体も重いことに気付きました。今のところ考えつく原因はパソコンのブルーライトです。ブルーライトは交感神経を優位にさせ、寝つきを悪くするだけでなく、寝ている間も脳が多くの情報を処理し続けることになり、本当の意味で睡眠はとれていないという結論に達しました。ブルーライトカットの眼鏡を使用していましたが、改善は見られず疲れは溜まる一方。そこで夜は赤ん坊と一緒に寝て、早く起きる朝型にしたところ、眠いどころかブルーライトでしっかり目が醒める(笑)睡眠の質が上がったので疲れにくくなりました。夜は出来るだけ思考せず、瞑想してさっさと寝るがオススメです。

立ってやる

macbook を使用してテーブルに座っている黒いシャツを着た女性

いわゆるスタンディングデスクを採用しました。立ってデスク仕事をすることで脳内の血流が上がり、頭が冴え、思考がクリアに。眠気防止にもなります。幸いキッチンのカウンターが丁度よい高さだったので新たにデスクを買う必要はありませんでした。日本ではこんな感じの物の購入を考えたりしています。

複数モニターを使用

論文の執筆過程で何報もの報告を一度に開くので、ノートパソコンの一画面だと書きたい情報を短期記憶しなければいけません。しかし、複数のモニターを使用することで参照しながら、文章を作成することができます。ある研究では作業効率が42%も上昇すると報告されています。私の場合は二画面で十分でした。モニターはコロナの隔離期間中にホームオフィスしやすいように購入した物です。

 

 

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ワンルームな為、キッチンの端っこの極狭スペースで書いていました。

実際の作業環境

疲れたらしっかり寝る

当たり前です。寝不足や疲労がたまっている際は無理せず、しっかり寝ましょう。自分に優しく!私の場合は疲労がたまると、右顔面に鈍痛が起き、瞼が痙攣し始めたのでしっかり睡眠をとっていました。オフも必要です。休む時にしっかりと休息したほうが翌日のパフォーマンスが違います。

マルチタスクはしない

意外と重要です。代表的なマルチタスクは好きな音楽を聴きながら作業することです。効率が下がるので控えた方がいいです。90年代のシティポップが好きなのですが、我慢しました。朝のフレッシュな脳に情報は与えすぎない方が無難です。

具体例

午後6時に帰宅したのち、午後8時には家族そろって就寝。私は朝2時に起床し、朝6時までの4時間を論文作成に充てていました。(6時間寝れてました。)大体そのころに息子が起きるので育児をして、8時から勤務。という流れです。お陰で3か月で集大成の博士論文が完成しました!

結論

時間は作るもの、見つけ出すもの。そして、効率的に過ごしたもん勝ちです。密度を上げて最短で終わらせることができました。

まとめ

如何でしたか?全部は出来なくても自分に合ってるかもと思うものを1つ取り入れて、効果を感じてみては?個人的にスタンディングデスクデュアルモニター最強だと思います。自分でアレンジして、人生を思い通りにしてくだいね!

全合成とは行かない反応条件を見つけるもの

現在ある天然物の全合成を行なっています。

 

試薬会社から購入できる試薬を出発原料として自然が作り出した複雑かつ巧妙にデザインされた化合物(天然物)を組み立てて行くのが全合成と言います。

 

全合成をやっていると人間は2つのパターンに分けられる事が多いです。

1:反応条件を片っ端から試す、つまり実験の数ははちゃめちゃに多く、最適な方法を見つけ出すタイプ。

2:一つ一つ少しゆっくり考えながら丁寧に反応を仕掛けていくタイプ。

 

僕は1寄りの2ですかね。

修士の時も全合成をやっていましたが、その時はバリバリの1でした。

普通に徹夜して、朝の5時まで反応しかけて、机に突っ伏してボスが来る8時まで寝てました。

ずーと反応条件を考えてました。

山本尚先生が仰るように実験をしていない時でもその事を考えるようにしておくと閃きが起きやすいのは事実ですね。

 

ただ、体にくる。長くは持ちません。

もう大学生のように朝までカラオケに行けるほど若くはないw

 

こちらにきてから丁寧に反応を仕掛けていくタイプ寄りにトランスフォームしたところ、数はあまり仕掛けられないのでたまーに焦る時がありますが、いい条件に辿り着くのが心なしか早い気がするような。

睡眠をきちんと取れているため精神的に安定しているのもあると思います。

全合成をすると不登校になったり、退学するくらい思い詰める人もいるんですね。

そこまでなら研究室変えるなり、大学変えるなりした方がいいかと。

全合成には余り執着しない方が良いですね。

だって、数ある反応条件の中から特定の基質に、人間の思った通りに行くものを探し出すのが全合成だから。

 

別の言い方をすれば、行かない反応(使えない)を見つけ出す研究とも。

 

ある教授が言っていましたが100個仕掛けて3つ宜しい結果が出ればよしっと。

 

論文のサポーティングインフォには、行かない条件も全て載せてくれると助かる人が居るのかなぁなんて思ったり。

全合成の意義はそこにもあると思います。

勿論全合成をどのように達成するか、インパクトも重要ですが、有機化学をより洗練されたものにするためにも全合成研究は一役かっているは確かですね。

 

秋の夜長に思ったことをつらつらと書いてみました。

 

 

 

 

休日教授に会議室に呼ばれた話と学会で口頭発表してきた話

 

スイスは九月に入って急に気温が下がり、過ごしやすくなりましたね。快適に生活できるようになりましたが、季節の変わり目は体調を崩しやすいのでゆったり過ごしています。

さて、今回の記事のタイトルはなんだか不穏な雰囲気が漂う感じですが、全然そういった内容ではないです(笑)むしろいいことだったような。

では、お楽しみください。

 

以前ポスター発表で申し込みしたのにボスから連絡が来て口頭発表に変更になったという記事を書きました↓

 

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三週間の夏休みをスイスで満喫して(なぜ一時帰国できなかったかはこちら)職場復帰したのが8月下旬の月曜日。

翌週の月曜日から学会に参加する事が決まっていて、せっせとスライドを作成して、自分で練習していました。

金曜日までそんな感じで過ごし、花金を満喫してそろそろ寝ようかと思っていた23時30分。

ボスからメールが‥

 

そういえば、口頭発表のリハーサルしてないよね?明日の午後時間あるから発表見せてくれ!

 

という流れで土曜日に会議室へ呼ばれまして、一回発表を見せて、フィードバックを貰い、日曜日の朝までスライドを直してました。

 

流石は我がボス、スライドが非常によろしくなりました。

 

そして迎えた翌週

月曜から水曜日までの泊まり込みの学会でしたが、自分の発表の時だけ行くつもりで、月曜日は普通に出勤したらボスに見つかり、水曜日の表彰式は絶対に行くようにと通達。

受賞者が居なかったら話にならないからという理由でした。納得。

 

会場はliestalに有る丘の上のホテル

駅から歩いて向かいました

20分程の登り道で足パンパン!

とうちゃーく

登りがなかなかきつかったですが、綺麗な景色が望めました♪

 

早すぎる到着ゆえ、会場でぼっち君

 

発表は15分の口頭発表で、自分で言うのも憚れますが、場の空気をガラリと変える圧倒的な発表をしてしまいましたww(ボス、ありがとう)

 

ショートブレーク中に教授陣や同僚、他大学のPhDから沢山のお褒めの言葉を頂き、実りあるディスカッションが出来ました。

発表賞はというと貰いませんでしたが、友人がポスター賞を取ったので嬉しかったです。

 

まとめると休日に働いてくれたボスに感謝感激という話でした😆

残りの有給休暇日数が36日から21日に。契約違反‥?な件

スイスの博士学生は基本的に年間25日間の有給休暇が認められています。そのため夏休みや、冬休みに限らず、祝日が金曜日や月曜日になった際は一日か二日間休みを取って別の国に旅行に行く人も。

その有給休暇ですが、大学側の会議で年繰り越しができるという決定がなされました。

つまり、4年間の博士課程中に100日の有給休暇があるということ。

そして、一年間のうちに25日の休暇を取らなかった場合は、その分働いているので、日割り計算で日給を教授側が払うという議会決定も。

なぜ、こんな議事が出たのかというと、多くのPhD学生が、取らなかった休みは繰り越しできるため、最後にまとめて旅行でもして消費する事例が多かったためです。

この学生たちはなにも悪いこともしていません。自分たちの権利を行使しているだけです。

ですが、それに教授側が猛反発。

教授側の言い分としては、休みを取っている間も給料は支払わなければいけないのだから休みは繰り越されるべきではない。また、まとまった休暇を取ることで研究が滞る可能性が大いにある、ということでした。

去年、教授側が委員会を設置し、大学側に審議申し立てまでしたのです。

大学側はそれに応じました。

大学側が出した結論は、休みを取るのは労働者(PhD学生)の権利であり、25日間の休暇は一年間で使い切らなければならない。もし、余剰がある場合はその分の日給を学生に支払う。もしくは4年間で100日の全休暇を取ればよし(繰り越しが可能ということ)でした。

それは秘書側にもきちんと伝わっています。

しかし、ボスは学生がその決定事項を知らないと思い込んでいるのか、休みは繰り越せないということを言い続けていました。

立場としては大学側は教授よりも上の組織なので学生は大学側に当然従います。

同僚たちは無視を貫いていました。

 

そんな時、人事からのメールで、今年の夏から休暇数をオンラインで管理しはじめるから準備しておけと伝えられ、必要な書類が添付されていました。

今までは休む時は秘書さんにメールする方式でしたが、より簡便な方法になると。

そこに前年までの繰り越し分と今自分が持っている休暇日数が書かれていました。

繰り越し分が20日で計36日の休暇が残っている。

他にも自分のように多くの繰り越し分をもっている学生が数人いたのでその人たちがボスのところにサインをもらいに行ったら、怒られたみたいです(笑)

 

そこで学生たちがとった作戦は化学科の人事部トップに仲介してもらう。

その人はその状況を聞き、ノンノンノン!それは教授側はサインしなきゃいけない約束だから、電話で伝えておく!と言い、実際に電話で伝えてくれていました。

 

 

翌日にボスから来たメールが「人事部に行く前に私のところに来てください」

でした。もう完全に暴走している😅

 

そして実際にサインをもらいに行ってみると、交渉開始。

なんと、繰り越し分を5日にしたいと。理由は日給を払いたくないから。

わかるけど、僕が三日おきにPCR受けたくない(無症状なのに受けても何の意味もないw)って言った時にconcequenceに従わなきゃいけないって言ってたよね?w

こっちはPCR一回約2万円を3日おきに払ってたけども‥

今のconcequenceはサインなはず。

あとで他の学生にも聞いてみると11日の繰り越し分だった学生は「まぁ いいっか」だったそうです。14日だった学生もおとがめなし。

20日の人たちは5日に強制的に減少。

?????

完全に暴走している😂(パート2)

 

しかも、5日にしたい理由が、他のラボのボスもやってるからという中学生が使いそうな理由。

ただ、一階上のラボのボスに聞いたらその方は大学側の決定をそのまま受け入れているし、反対した覚えはないと言っていました。

 

全く譲りそうもないので、こちらが折れて、秘書さんに新しい用紙に21の代わりに5と書いてくださいとお願いに行きました。もはや完全にカオス。

秘書さんも困り顔😔でした。

大きな問題にしたくはないから許容するけど、大学出たらsueするよって秘書さんと大笑い😏しました。

 

まぁ 休みをたくさん取るほうじゃないから別にいいんですけどね!

てなわけで、エンジンフル回転でがんばってます!!ていう話でした。

 

 

 

ポスター発表で申し込んだのになぁ

今年の夏は学会祭りになりそうです。

 

日本の研究室では少しでも結果が出ると教授が声をかけてくれて小さな学会にいくつも出させてもらったり、きちんとした結果が出た際はかなり大きな学会(国際学会含む)にも出向かせてくれました。

なので日本時代の3年間で8回以上学会発表してます。

 

しかし、こちらのラボではパブリッシュした結果しか学会で発表しないため数回出られれば良いほう。

しかも、Impact factor 6以上しか出さないというボスのポリシー笑(学生には鞭)

現に私も3年生までは学会発表なし。

最近やっと学会に出られるようになり、以前の記事でお伝えしたように7月はベルギーでポスター発表しました。

8月は3週間ほど日本でバケーション(3年ぶりの帰国)。

ワクワクドキドキの帰国気分を早めに味わっていた頃、ボスからメールが来ました。

「8月末の学会、出られる人出てね!(△△△とか〇〇〇とか)」

ここに自分の名前発見!!

出るしかない。

でもポスターにしよう。ベルギーで発表したやつをそのまま使えばいいし、練習もしなくてもぜんぜん大丈夫だし。

と、たかをくくっていたのは事実。

アブストラクトも提出し実験に励んでいた頃、またしてもメールが。

「オーガナイザーに聞いたらポスターで申し込んだって?オーラルでやってくれ!こっちで担当者に連絡しとくからさ」

 

出た~

ボスの無茶振り

いつも自分を強制的に挑戦させてくれる無茶振り

 

ふたつ返事で「やります!」と返信

ということでバケーションから帰った次の週に口頭発表決まりました!

これは流石に練習しないとまずい

というかスライド作らんとまずい

でもきちんと休みたいから帰ってきてからやります笑

今度はスイス国内の学会だけど、2泊3日かな

日帰りできる距離だからコミュートしたいっ というか そうします笑

ベルギーで開催された学会に家族を連れて行ってきた

前回のブログでSCS travel awardを受賞したと書きました。

 

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その賞金を使ってスイス国外の学会に参加するのが条件でした。そこで僕はベルギーのナミュールで開催されたOrganic Synthesis Symposiumに参加する事に。6日間の開催でポスター発表は勿論のこと、著名な先生方が講演してくれる大規模な学会です。

実は博士課程に入ってからの初めてのポスター発表(oralは何度かあるけど。)で、約3年ぶりにポスターを作ったのでやり方を忘れていて時間が掛かりました。

家族を学会に連れていくのは初めての事。というより海外の学会に連れて行くのは想像していませんでした。しかし、約1週間、バーゼルに妻と6ヶ月の息子を残して行くのは妻の負担が最高潮に達すると思ったので、大変ですが家族みんなナミュールに行く事に。

出発当日は朝の8時半の電車にラボの友人と一緒に乗り、チューリッヒ空港へ。

小耳に挟んでいましたが、空港は人員不足でチェックインカウンターには長蛇の列ができていました。

預け荷物は無かったのでオンラインチェックインで済めば良かったのですが妻の搭乗券が取得出来ずカウンターに行かなければなりませんでした。

しかし、長蛇の列を並ぶのは体力的にキツイ。スタッフに聞いてみると少し離れた所にあるチェックインカウンターのが空いているらしくそちらで無事妻の搭乗券もゲット。

ナミュール行きの便に乗るまでに息子の集中力はもう限界に来てましたね。

いろんな抱っこの仕方をしながらなんとか飛行機に乗り込み、あとは授乳されながら爆睡してました。

機内から

3年ぶりの飛行機にワクワク

チューリッヒからは約1時間のフライトで、小型飛行機でしたが酔う事もなく無事ブリュッセル空港に到着です。

 

そこから電車に乗りさらに1時間半。

アクセス抜群と学会のパンフレットには書いてあったけど、、、

乗り換えの駅にて

ベルギーではなんと12歳まで切符は無料。(スイスは6歳まで)

三枚の切符を出すと「?」という顔をされ、「彼はVIPだよ」と言われました。

 

ナミュール駅に到着後、体力的にバテそうだったので直接宿へ(計8時間の移動)。airbnbで取りました。

1週間お世話になった部屋

Wifiを繋ぐのに苦労したスマートテレビのある部屋

シャッターが壊れ、カーテンが透け透けで、明るい街灯が直接当たる寝室

物干し竿を自作

庭があって、湯船があって家族連れにはもってこいの場所で良かったです。

その日の夜は買い物に行く元気もなく、お寿司をオーダー。

頼みすぎて妻に叱れました笑

翌日(月曜日)が自分のポスター発表の番。

かなり大きな学会会場

うちのラボ、結構な有名ラボみたいでいろんな人に「この仕事面白いよね」「これ覚えてる」とか嬉しい言葉をいただきました。熱心に議論してくれる人もいて、有意義な時間でした。

初日という事で疲れたので少し早めに帰路に着く。

その後買い物に行き、川沿いをぷらぷら。

バーゼルよりはさみゅーる

綺麗な風景でした

翌日は観光に当てました。大きな都市ではないので見るところもあまりない。バスの一日券を買って、城跡を見たりワッフルを買いに行ったり。

城跡には金色の亀

何処にでも売っているワッフル

スイスのチョコとはまた違う美味しさ

街で唯一の日本語発見!

 

そして、この日の夜。

私、急激な悪寒の後、発熱してしまいました。

身体中が痛くなり、頭もガンガン。まるでインフルエンザの様。

夜中の2時ごろに熱が下がり始めたのがわかったので塩水を大量に飲み代謝を促したところ朝まで寝ることができました。

しかし、体の節々が痛く、それでも赤ちゃんを抱っこしなければならないためその日から戦いが始まりました。

食欲は皆無で結局水曜から金曜まで水以外何も口にできませんでした

結論を言うと、学会は最初の日しか参加できてません笑

こんな事になるとは。。。

日を追うごとに体調の回復は見られるもののかなりしんどい時間が続きました。

そして、妻と息子に移しました。

息子は軽〜い咳をして1日で治っていましたが、妻は悪寒と少しの発熱。

幸い、移動日には皆そこそこ回復し、それでも最後には瀕死の状態でバーゼルのアパートになだれ込みました。

今回の風邪、やたらとシツコイ

1週間経ってもまだ咳が出るし、なんだか疲れやすいです。昼寝が必要になるくらいに。

再来週は日本へのフライトなのでそれまでに体調を万全にできれば完璧ですね。

まさか、まさかの1週間になりました。

Namurをパノラマ

 

 

博士課程最後のAnnual Meeting

こちらの博士課程ではAnnual Meetingといって、年に一度指導教官と副査の先生の前で研究報告をして議論します。自分は4月入学なので毎年4月頃に行っていました。しかし、今年は論文、実験、子育て、申請書類、就職活動等で、すっかり頭から研究報告が吹っ飛んでおりボスから言われて気がつくほど。

夏休み期間に入ると先生方も休暇を取るため急遽通常のグループミーティングとAnnual Meetingをcombineすることに。

以前に二度行っていますが、それらはオンラインだったので今回が初めてのオンサイト開催。副査の先生にアポを取り付けちょうどその時間なら空いているとのことで朝九時から研究報告をしてきました。

発表論文についてともうすぐ終わりそうな全合成の内容を発表。多くの質問や提案をしてくれるので大変勉強になります。

また、自分が作った化合物を使って面白いことができそうとCollaborationもその場で決まり、午後には副査の先生のグループからポスドクが来て少しディスカッションしました。

通常、発表後は指導教官と副査で話し合いをし、その後副査と自分で話し合いをして終了なのですが今回はなし。理由はわかりませんが最終学年だからかもしれません。

研究報告が終わった後は報告書を書かないといけません。

この一年に何をやったか、来年度は何をするのか、要旨までとは行きませんがその類のものです。

うちのボスは英語の添削に時間を割くのが嫌いな人なので、書き上げたものをBritishに見てもらい、それを提出しました。

やはり、ネイティブに見てもらうと英語の勉強になりますね。

夏休みに入る前に終えることができて良かったです。あとは全合成の残りのステップをパパっと終わして、パブリッシュして、博論書いて、ディフェンスしたらおっしまい!

やっと終わりが見えてきた今日この頃でした。

 

 

有機化学を勉強するなら以下の書籍がおすすめ!

 

 

そんな単語知らん-impeccable-

impeccable

この単語知ってますか?僕は今日まで聞いたこともありませんでした。

こちらのラボでは音楽をかけながら実験するのですが、その音楽を決めるDJがかなり重要です。

知らない曲ばかり流したり、聞こえないような音楽、うるさい音楽等を流すと曲を変えようという雰囲気が出てくるからです。

皆が知っていて乗れる曲、でもうるさくなく、テンションもいい感じで上がる曲が好まれます。

うちのラボでは一週間に一人二回ほどDJをやります。

コチラに来たばかりの頃はいい感じのチョイスがわからず、自分でもたまにうるさいなぁ、音量下げよう、曲変えようという感じでした。

しかし、3年の月日で人は変わります。さまざまな曲に触れていく中で丁度いい具合のものを見つける能力がつきまして、プレイリストをいくつか作りました。

今ではbest of best のDJとして活躍しております。

そんなある日、いつものように曲をかけていると、イギリス人ポスドクがたまたまやってきて、興奮した様子で一言

Your choice is impeccable, too amazaing!!!

二つ目の単語で文脈を掴めたので理解できましたが、一つ目の形容詞Impeccableって何ぞや?

わからなかったらすぐ調べる!ということでこんな感じ↓

from Merriam-Webster HP

 

類義語はこんな感じ↓

from Merriam-Webster HP

日本語だと「非の打ち所がない、完璧」といったニュアンスでしょうかね。

つまり、曲のチョイスをめちゃくちゃ褒められたということできちんと理解できました。まわりにネイティブがいるってすごい勉強になるな

 

因みに今日はパリの雰囲気が漂う曲と南アフリカの踊れる曲を中心にかけていました💃

覚えておくと得するかも!?

 

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この本の例文を100回音読しましたら考えずに英語が出てくように!

 

連日の猛暑で試薬用冷蔵庫が壊れ試薬が爆発

バーゼルは連日の猛暑でぐっすり寝れない日が続いています。先週末は2日間続けて最高気温37度となかなかクレイジーな夏。

月曜日にラボに行くと何やらキツイ匂いがラボ全体に広がっていました。匂いの原因は試薬用冷蔵庫。4度設定で試薬を保存している冷蔵庫の庫内温度が33度を表示しているではありませんか。

中を開けてみるとぬるい空気がヌメ〜と出て来ると同時に催涙性試薬を使った時のような感覚が目に来ました。

なんと冷蔵庫内でベンジルクロロフォルメートが爆発していました。

benzyl chloro formate (from TCI HP)

いつ爆発したかもわからず、残りの試薬は外観は無事だったものの要冷蔵の試薬なので生きているかもわからず。

ただ、室温に置いておくと更なる悲劇が起きそうなので冷蔵庫ごと地下にある冷蔵室に運び込みました。

おそらく、連日の猛暑と腐食性試薬の貯蔵が相まり冷蔵庫がまず逝き、ファンが停止。庫内湿度が上がり、試薬が反応し、ガスが発生後、爆発が最もな理由かなと思います。

というのもベンジルクロロフォルメートは沸点が103度とかなり高い。高音だけで内圧が上がるとは思えません。高音が原因ならエーテル溶液が先に吹っ飛んでもいいので。

もしかするとセプタムの有無が決め手だったかもしれませんが。

 

そして今日、その試薬の掃除を行いました。

なんせ、催涙性試薬で冷蔵庫を開けるだけで涙が止まらなくなる。

まずはこんな感じのマスクで挑みました。

素顔よりはまし。

 

でも5分で一緒に作業していた友人がギブアップ。

 

最終的にはこんな感じで。

ザ gas mask!

 

お互いの声も聞き取りにくい中、すべての試薬を取り出して、チャックして、冷蔵庫内の飛び散った試薬とガラスを綺麗にして、新しい冷蔵庫が来るまで、その冷蔵室に試薬を置かせてもらうことに。

かなり息苦しかったですね。でも身体がコンタミするよりはまし。

指に小さなガラス片が刺さって血がでたりしましたが、超厚手の手袋に変えてなんとかやり来ました。

明確な理由が分からないのがネックですが、その冷蔵庫は去年買ったものでかなり新しいのです。

これからどうなることやら。解決策を考えねば。

 

掃除終了後はコーラとベルギーワッフルで乾杯しました🍻

ポスドクの先輩のおごりで。

 

 

今年のスイス暑すぎん?

今年は欧州に熱波が来ているらしい。

今週末のバーゼルはなんと土日仲良く揃って37度まで上がってる。 先週の木曜日の午後、実は熱中症になりかけて早退する羽目に。自分の勤務する建物は昔からある建物でエアコンがない。スティーリングプレートの温度は31度と表示されていたが、体感温度は正直それ以上。

因みにこの記事を書いている今はこんな感じ

ボスから、比較的涼しい朝早くにきて、午後はラボワークをしないで(デスクワークという意味)しかも早めに帰れとメールが回ってきた。

うちのグループは10時間以上働くのが暗黙の了解で、翌日は夜中の2時にみんな働き始めると思っていたがそんな人はいなかったらしく安心した。

この類の熱波は実は初めての経験ではなく、スイスに来た年の夏が正に熱波で、寝られない夜が2〜3日あった。勿論学生寮にも今住んでいるアパートにもエアコンは付いていないので扇風機でしのぐしかない。

コロナの規制が春に終わってマスクをつける必要がなくなってのは幸い。この気温でマスクは倒れる人が居ると思う。

そういえば今夏に一時帰国することに。

バーンアウト寸前。3年以上帰れていないのはやはり精神的にも身体的にもくる。(色々ありました。)

明らかに充電が必要。リフレッシュして戻ってきたいと思う。