本記事はスイスで博士号を取得した筆者が「スイス留学での博士号取得: ヨーロッパの知識の宝庫を探索する旅」と題して項目ごとにスイス留学の魅力を伝えていこうと思います。以下の方々に役に立つ記事になっています。
スイス留学を視野に入れている
海外で博士号を取得したい
知識として知っておきたい
留学や博士号取得に興味がある
はじめに
言うまでもなく、博士号の取得は、 学術的な成長とキャリアの発展において大きな一歩です。 その中でも、 スイス留学はその魅力的な環境と質の高い教育体系で知られていま す。本記事では、 スイス留学での博士号取得に関する重要な情報を提供します。
1. スイス留学のメリット
スイスは、 世界的に評価される高い教育水準と研究機会を提供する国の一つで す。博士課程の学生には、 先進的な研究環境と国際的なネットワークが広がっています。 スイスは多くの国際機関の本部があり、 異なる分野での交流と連携が期待できます。
もちろん留学先のメンバーも多国籍になることが普通で、様々なバックグラウンドの方々とお互いの文化を理解し、尊重しあうことも学べます。
また、PhDに関して言えば通年採用なので各々自分の都合で入学時期を選択することもできます。入学時期はボスとのやり取りで決定可能です。僕は日本で修士 をとってからダイレクトで渡欧し4月から研究を開始しました。他のメンバーは9月、11月、12月、1月入学と多様です。
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2. 留学の手続きと応募
スイスの大学への応募は、大学ごとに異なる場合がありますが、 一般的にはオンラインでの応募が一般的です。 必要な書類には成績証明書、研究計画、推薦状などが含まれます。 また、ビザや滞在許可の手続きも事前に行う必要がありますので、 早めの準備が大切です。
僕の場合ですと、研究室にアプライする際は、カバーレターと履歴書、研究概要、さらに連絡がつく参考人 の方の情報をPhDであれば2人、ポスドク であれば3人必要でした。これらをPDFに纏めてメールで応募しました。そもそもPhDの空きがあるかすらわからない場合はメールで「研究に興味があってPhDの学生になりたいと考えているが、募集はしているか」と聞いた方が早いです。
日本とは異なり、まず所属を希望する研究室のボスに連絡を取り、実力があれば面接に呼ばれ、OKサインが出てから大学への入学手続きが始まります。
面接は今のご時世オンサイト/ラインを選択できるのが普通です。僕の経験から言うとオンサイトで実際に研究室を訪問し、プレゼンをして、メンバーと話してみるのをお勧めします。ファシリティを実際に見ることもできるので、博士学生として過ごす時間を想像しやすくなります。
ビザに関しては、入学が正式に認められるとラボの秘書さんが手続きを行ってくれますので、心配しなくていいでしょう。
3. 研究環境とプログラム
スイスの大学は、高度な研究設備と質の高い教員陣を誇ります。 専攻分野によって異なりますが、工学、自然科学、 医学などの分野で世界的に有名な大学が点在しています。 学際的な研究が奨励されており、 異なる分野の知識を結びつける環境が整っています。
欧州の地理的に中心にあること、周りを4つの国に囲まれていることも起因してか、かなり潤沢な資金で研究することができます。
僕が所属していた大学は博士課程は大体4年で取得を目指します。延長もできて、1年半伸ばした方もいましたし、半年延長はざらに居ます。僕は1か月延長しました。公聴会 と試験を受けて、不合格だった場合、もう一度だけ試験を受ける権利がありますが、それでも博士を取れないときは退学になります。
教授との雇用関係を結んで研究するので、ラボにもよりますが一日8時間労働の契約を締結します。しかし、あくまで学生であり、結果を出さなければ首を切られるシビアな世界なのでそれ以上働いて、結果を取りに行くのが普通です。もちろん残業代は出ません。
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日本ではあまり考えられないことですが、海外の大学院では給与をもらいながら研究するのが普通です。その額は国、大学、研究機関によりますが、スイスの場合、借金をして学生をする必要はありません(豪遊しなければの話です)。教授が金銭的リソースを管理しているので、この学生にお金をはらう価値があるかを面接ではシビアにみられます。もし、採用の可能性を上げたいのであれば奨学金 や助成金 の利用が可能です。自分でお金を持ってこれる学生は優秀であることの証明ですし、ボスのリソースを割かずに済むからです。スイス政府や大学、研究機関、 国際機関からの奨学金 情報を収集し、 適切な応募手続きを行いましょう。奨学金 の授与基準や申請締切に注意することが重要です。僕はスイス政府奨学生として採択されていました。教授から頂く給与の約半分を奨学金 から頂いていたので教授はそのリソースを他に使うことができていました。
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5. 生活費と住環境
スイスは生活費が高い国の一つですが、博士課程の学生の給与であれば十分に生活できます。大学のキャンパス内や近隣の地域には学生向けの住宅施設が用意さ れており、適切な住環境を選ぶこともできます。僕の場合は2年間は学生寮 にいて、その後一般のアパートに引っ越しました。1DKでしたが、日本のアパートに比べるとかなり広く、ベランダだけで、6畳くらいありました。
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生活コストを抑えたい方であれば、ルームシェア 、フラットシェアをしている学生も多くいますので、選択にいれてみてもいいでしょう。
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オススメは近くにスーパーがあって、勤務地にも徒歩で行けるところですね。出勤に時間をつかうのは賢明ではありません。
6. 言語の問題
スイスは複数の公用語 (スイスドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語 )が話されており、 大学や研究機関によって使用される言語も異なります。しかし、国際的な研究機関であれば、みなさん流暢な英語で話します。学部生でも普通に英語は問題なく、大体三か国語平均で話せます。
問題は現地語をどれだけ習得できるかだと思います。カフェやレストランはスイスドイツ語を話せた方が無難ですし、なにより数年間滞在するなら現地語はできるようになっておく、もしくは勉強しておくと便利です。転入の際に言語スクールのバウチャーをもらえるのでそれを利用するのもいいでしょう。
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7. カルチャーショックと異文化適応
異国の環境での生活は、 新たなカルチャーや習慣に適応することが求められます。 スイスは多様な文化が共存する国であり、 地域によっても異なる特徴があります。 初めての経験に対する柔軟性や対応力を養うことが、 スムーズな異文化適応に繋がるでしょう。
ネットが発達したから海外の情報を得やすいといってもたかが知れています。現地で生活してこそ気付けることが多々あります。メディアでは誇張されますし、伝えていない事実もあります。異文化を感じるのが人生経験として重要で、人生の肥やしに間違いなくなります。
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8. 研究成果の発信と国際的な交流
スイス留学においては、研究成果を国際的に発信し、 他の研究者との交流を深める機会も豊富です。 国際会議への参加や論文発表によって、 自身の研究が世界に広がるチャンスを得ることができます。 研究ネットワークを築くことで、 将来の研究やキャリアにプラスとなるでしょう。実際に僕がPhDをしていたのは名だたる国際企業は本社や研究機関を置く場所だったので、昨日まで同僚だった学生がPhDをとってそこで働き始めるのはざらですし、バーで隣り合ったのが大企業の研究者ということもあります。ここでは書けませんが、いろんなことを聞けるのでいいですよ。
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9. 健康保険と医療サポート
スイスでは、健康保険の加入が義務付けられており、 留学生も例外ではありません。健康保険に関する手続きや選択肢、 医療サポートについての情報を事前に確認し、 留学中の健康管理をしっかりと行いましょう。 急な病気やケガに備えると安心です。
僕が採択されていた奨学金 では月の支払いを全て奨学金 側が払ってくれていたので、金銭的には非常に助かりました。
さらに、収入によって控除が受けられるので手続きをする価値がある方はしてもいいかもしれません。僕はスイスで妻と息子の分の控除を受けていて、保険料がかなり安く済んでいました。
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10. 娯楽と余暇の過ごし方
留学生活は学問だけでなく、 リラックスや余暇を楽しむことも重要です。 スイスは美しい自然環境やアウトドア活動の場所が豊富で、 ハイキングやスキー、湖でのレジャーなど、 さまざまな娯楽が楽しめます。 地域の文化イベントや観光名所を訪れて、 留学生活を充実させましょう。
一時は毎週末に山にハイキングしに行っていました。長期休暇ではAirbnb で一軒家をかりて大自然 を満喫しました。最高でしたよ。
研究室でも夏と冬に旅行があったので気の知れた仲間とわいわいやれて楽しいです。
ルツェルン にて
湖の上から
フランスのコルマール
アインシュタイン の部屋
ラボ旅行で訪れたエンゲルベルグ
インターラーケン
ツェルマット
グリンデルバルド
トリュプ湖へ息子をおんぶして
ベルギーのナミュール
おわりに
スイス留学は、 博士号取得を目指す学生にとって貴重な体験となることでしょう。 高い教育水準、研究環境、異文化体験を通じて、 学問的な成長と個人的な充実感を得ることができます。将来のキャリアにおいても、 スイス留学が新たな可能性を広げる一歩となることでしょう。留学の準備をする際には、 しっかりとした計画と情報収集が大切です。 将来のキャリアに向けて、 スイスでの博士留学を検討してみてはいかがでしょうか。